Type激S








101「横着者」

 志貴の前で言い争うシエルとアルクェイド(志貴無力化済み)。
シエル「・・・!もう我慢できません!アルクェイド、これでもくらいなさい!」
 アルクェイドに向かって幾本もの黒鍵を投げつけるシエル。
 が、それはただ立っているだけのアルクェイドにかすりもしなかった。
シエル「な・・・!・・・なかなかやりますね・・・・」
 シエルの表情に緊張が走る。



志貴「(・・・いや、そりゃいっぺんに何本も投げたら命中率も落ちるでしょう)」




102「酒豪」

 遠野家、四人で行われるささやかな酒宴。
志貴「・・・・・・・・・・・・」
琥珀「あはー。秋葉様ハイペースですねー」
秋葉「このくらいなんともありません。琥珀。もっと強いお酒はなかったかしら?」
琥珀「はい、少々おまちくださいね」
 そういって台所へと消える琥珀。

 翡翠はすでにつぶれているので事実上志貴と秋葉二人だけになる。


志貴「なあ秋葉・・・」
秋葉「何ですか兄さん?」
志貴「いくらお前が酒強いといっても、略奪までつかって飲むのはどうかと思うぞ・・・」

秋葉「そうですか?この方が効率がいいんですけど」




103「ヤマタノオロチ」

志貴「しかも樽からって・・・」




104「優越感・屈辱感」

秋葉「・・・で、その子を家族の一員として迎えたいというわけですね?兄さんは」
志貴「ああ・・・その、やっぱり・・・だめか・・・?
秋葉「何をいってるんですか。私も鬼じゃないんですから」
志貴「・・・ってことは?」
秋葉「ええ、いいですよ。こんなかわいい女の子をほっとくわけにもいきませんしね」

 そう言ってレンに微笑みかける秋葉、その秋葉を見つめるレン。そして。
レン「・・・・・・・・・・・・・・ふっ」
秋葉、志貴「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!」」



105「責任」

秋葉「・・・・やはり、これは飼い主の責任ということですね」
志貴「またこのオチかよ!!」




106「切実な問題」

志貴「まず、シエル先輩は除外だろ。アルクェイドなら全部アルクェイド持ちになるけど、男として情けないんだよな・・・同じ理由で秋葉も却下。翡翠は一見大丈夫そうだけど、変なものに興味を持つからなぁ・・・琥珀さんは・・・だめだ。この前偉い目にあったからな。レン・・・・う〜ん、やっぱレンかな?」


 デートしようと思ったが、金欠がのっぴきならない事態まで来ていた。




107「ぶるうたす」

 アーネンエルベにて。
レン「・・・・・・・・・・・・・・・♪」
志貴「・・・ねえ、レン。まだ食べる・・・?」
レン「━━━━(こくこく)」
志貴「あははは・・・・は」

 ケーキをもくもくと食べ続けるレンを前に心のそこからぎりぎりで搾り出した笑みを浮かべながら。




108「自尊心」

 休日、台所でみんなに振舞うための料理を作る志貴。
志貴「・・・どうかな?」
琥珀「志貴さん。なかなかやりますねー」
秋葉「ええ、ホント。これから休日は兄さんに料理してもらおうかしら」
琥珀「あはー。それもいいですねー。私も志貴さんの料理好きになりましたし」
志貴「いや、それは無理だって。俺が作れるのは麺料理くらいのものだし、やっぱり琥珀さんの料理には適わないよ」
 ぽりぽりと頭をかく志貴。と、視界の隅に黙っている翡翠がうつる。

志貴「あれ?どうしたの翡翠?もしかして・・・口に合わなかった?」
翡翠「いえ・・そんなことは・・」
 と否定の言葉を口にしようとするが
翡翠「・・・すいません。自室にて休ませていただきます」
 そういって静かに退出する翡翠。


志貴「・・・・」
秋葉「・・・いえ、ほら!おいしいですよこれ!ねえ、琥珀!?」
琥珀「え、ええ!そうですよ志貴さん!あ、おかわりもらえますか!?」

 一度は立ち直りかけた志貴だったが
 いつもの翡翠的な扱いになっている事に気づいてますます落ち込んだという。




109「苦悩」

翡翠「私が志貴様のお側にいるにはあの料理に慣れなければならないのね・・・」




110「古風」

翡翠「志貴様は愚鈍かと思われます」
志貴「・・・・・・・・・・・・・」


 斬新過ぎて何もいえなかった。




111「直死ですから」

 シエルの部屋。ベッドの上にて。
志貴「先輩、メガネはずしてもらえますか?」
シエル「ええ、かまいませんが・・・」
 そこまでいって恥ずかしそうにうつむくシエル。

志貴「先輩・・・どうしたの?」
シエル「いや、その・・・遠野君にも、メガネはずして欲しいなって・・・」
志貴「なんだ。そんなことですか。いいですよ、別に」
 にっこりと笑ってメガネをはずす志貴。そして二人はめくるめく官能の世界へ・・・


 線と点が見えてそれどころじゃなかった。



112「なにをいまさら」

 志貴VS秋葉(紅赤朱)
秋葉「自己嫌悪です・・・こんな形で兄さんに勝ってもうれしくないし、また鬼妹なんていわれるんですもの・・・・はぁ・・・」




113「ランクアップ」

志貴「妹(魔王)とでも名づけてみようか・・・・」




114「視姦」

 教室の中、志貴を見つめるさつき。
さつき「ああ〜・・・遠野君・・・話しかけてみたいな〜・・・話しかけて、今度の日曜日に遊ぶ約束して、一緒に遊園地に行ったり映画館にいったりして・・・そして、そのあとは・・・・きゃー!もう、だめだよ遠野君ったら!」


志貴「・・・なんだ?すごい寒気がするけど・・・」




115「客観的視点」

有彦「まーたいい具合にトリップしてるよ・・・」



116「豆まき」

志貴「なあ、豆まきやらないか?」
秋葉「豆まき、ですか?」
志貴「ああ、ちょうど節分だろ?こういう行事もいいんじゃないかなって・・・」
秋葉「・・・私はべつにかまいませんけど・・・」
翡翠「志貴様がお望みなら」
琥珀「そうですねー。それも楽しそうですけど・・・志貴様。鬼は誰がやるんですか?」

志貴「あはは、琥珀さんそんな適役は・・・」
秋葉「兄さん、私の顔に何かついてますか?」
志貴「・・・俺に決まってるじゃないか」

翡翠「志貴様、なぜ泣いておられるのですか?」




117「ルール」

志貴「よし、じゃあそろそろはじめるか。俺は逃げるからみんなはしばらくしてから追いかけて俺に豆をぶつける、いいかい?」

秋葉「わかりました」
琥珀「はい、それでははじめましょうか」

志貴「よし、じゃあ、よーい、スタート!」




118「鬼<大鬼」

 開始2分後。
秋葉「逃がしませんよ、兄さん!」
志貴「うお!秋葉!髪、髪が赤いって!人外の力でなげるな!」




119「鬼殺し」

志貴「・・・翡翠、一つ聞いていいかな?」
翡翠「はい、なんでしょうか。志貴様」
志貴「・・・翡翠が手に持ってるそのごっつい銃みたいのは何?」
翡翠「はい、姉さんが渡してくれたもので、何でも豆を音速で射出できるものだそうです」
志貴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・音速?」
翡翠「はい。音速です。・・・・それでは志貴様、参ります」

 言うが早いか翡翠の持つ銃がダララララ!なんて音を出しながら豆を吐き出す。
 間一髪その場から抜け出す志貴。と、志貴が立っていた場所の後ろに生えていた大木がメリメリと音と共に倒れていった。


志貴「・・いや、これ、シャレになんなくない・・・?」




120「人殺し」

志貴「琥珀さん、それ、豆じゃないって!」
琥珀「あははー♪」
志貴「仮面が・・・・仮面が外れてるって!」




121「豪腕投手」

 逃げる志貴が前方にいる人影を捕らえる。
アルク「あ。おーい、志貴ー!いくよー!」
志貴「何でアルクェイドがいるんだ!」
 逃げながら答える志貴。
アルク「えー?だって楽しそうだったから」
志貴「答えになってない!って、うぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・」
 翡翠のマシンガン並の速度で飛んでくる豆から逃げながら。



122「殺戮ゲーム」

シエル「遠野君、ここまでですよ」
志貴「せ、先輩・・・なんで黒鍵持ってるんですか・・・?」
シエル「だって遠野君は鬼役なんでしょう?」
志貴「いや、そうだけど・・・鬼に投げるのは豆ですよ」
シエル「ええ、わかってますよ。ほらここ、見てください」

 志貴が近寄ってみると黒鍵の先には「豆らしきもの」が刺さっていた。
シエル「・・・・・ね?私はこっちの方が命中率があがるからこれでいきますね」


志貴「いきますね、て・・・もうこれ豆まきじゃないよ!」




123「夢オチ」

志貴「うわぁ!」
 布団を跳ね飛ばして志貴が起きると、そこはいつもとなんらかわりのない自分の部屋だった。

志貴「・・・・・・夢? そうか、夢か・・・よかった・・・ほんとに死ぬかと思った。うわ、ものすごい汗かいてるよ・・・よし、早く着替えて学校に行こう」
 いつもどおりの日常が送れることに心から感謝する志貴だった。




124「現実オチ」

 血まみれで地面に倒れている志貴。
秋葉「・・・兄さん!しっかりしてください!」
翡翠「・・・志貴様・・・・」
琥珀「ちょっとやりすぎちゃいましたかねー」
アルク「志貴!大丈夫!?」
シエル「遠野君・・・死んじゃイヤです・・・!」
アルク「レン、志貴をお願い!」
レン「━━━━(志貴の前で必死な表情で)」




125「放置プレイ」

アルク「大体、シエルが黒鍵なんて投げるからいけないのよ!」
シエル「あ、あなたがあんな非常識な速度で投げるからでしょう・・・!」
秋葉「それ以前になぜ貴方達がここにいるんですか!」
琥珀「まあまあ、秋葉様。少し落ち着いてくださいまし・・・」
翡翠「姉さん。姉さんにも責任の一端があるのでは?」
琥珀「ひ、翡翠ちゃん・・・!それを言ったら翡翠ちゃんにだって・・・」


 5人が言い争ってる横でレンと志貴は順調に弱っていったという。




126「夜の秘密」

 夜、志貴の部屋にて。
志貴「ねえ翡翠」
翡翠「なんでしょうか志貴様」
志貴「夜の屋敷の見回りは翡翠と琥珀さんだけでやってるんだよね?」
翡翠「はい、それがなにか」

志貴「いや、翡翠と琥珀さんだけで見回りしてて、もし誰か侵入してきたときに困るだろ?だからオレも見回りしようかな、て思ってさ」
翡翠「必要ありません」

志貴「え?いや、でも・・」
翡翠「必要ありません。仮に誰か侵入する事があっても・・・」
琥珀「あはー、そこまでですよ。翡翠ちゃん」
翡翠「姉さん・・・はい、もうしわけありません」

志貴「琥珀さん・・・・どゆこと?」
琥珀「志貴さん。世の中には知らない方がいいことがあるんですよ」


志貴「・・・・(二度とこの事には触れるまいと誓いながら)」




127「裏舞台」

 ある日の深夜。遠野家、座敷牢にて。
琥珀「さぁ、次はこれですよー」
男「も、もう勘弁してくれ!」

 死に至らない程度の毒物が確実に増えていったという。




128「練習」

 琥珀の薬で弱った男のもとへ訪れる翡翠。
翡翠「だいじょうぶですか?」
男「・・・・・・・・・・ひぃっ!」
 やたらとおびえる男。

翡翠「・・・・大丈夫ですよ。私は薬の実験に来たわけではないのですから」
 男が琥珀と自分を間違えていると考え、にっこりとやさしい笑みを向ける翡翠。

翡翠「姉さんももう少ししたらあなたを開放すると思いますので、申し訳ありませんが、我慢してくださいね。それでは、お食事の時間です」
 そういって形容しがたい色をしたものを男に差し出す翡翠。

男「・・・・・・も、もういっそのこと殺してくれ!」


 どちらかというとこっちの方がきつかったと男は後に語る。




129「バレンタインデー」

 昼休みの学校にて。
シエル「はい、遠野君。チョコレートです」
志貴「え?あ、うん。ありがとう先輩」
シエル「いえいえ。志貴君のためですから」
志貴「ところで先輩・・・このチョコレート・・・」


 通例により省略。




130「来客」

シエル「じゃあ、私、今日は先生に頼まれている仕事があるのでこれで」
志貴「ああ、わかった。がんばってね、先輩」
シエル「はい、それでは」
 そういって校舎へと消えていくシエル。

翡翠「志貴様」
志貴「うわぁ!」
 振り返るとそこには翡翠が立っていた。

志貴「ど、どうしたんだ翡翠。学校に来るなんて」

 志貴の言葉に返事を返さずになんだかうつむいてもじもじとする翡翠。
志貴「? どうかしたの?翡翠」
翡翠「あ、あの志貴様・・・こ、これ・・・手作りなので不恰好なのですが・・・」
 うつむいてチョコレートを渡す翡翠。
 不吉な単語に一瞬顔が引きつる志貴。

翡翠「志貴様。開けていただけますか・・・?」
志貴「あ、ああ・・」
 恐る恐る包装を解く志貴。


 梅だった。




131「社会便宜的行事」

志貴「・・・・翡翠?」
翡翠「なんでしょうか志貴様」
志貴「これ、梅だよね?」
翡翠「はい、梅の種の部分にチョコレートが入っています」
志貴「(またいらんことを・・・)うん、じ、じゃあ食べようかな」
翡翠「(頬を染めて)はい、どうぞお召し上がりください」

 意を決して口へと運ぶ志貴。

翡翠「・・・・・・・・・・・・・・・・(じーっ)」
志貴「・・・・うん、おいしいよ。この梅の風味とチョコの甘さが溶け合って、なんだか斬新な・・・・ぐふっ!」


 限界だった。




132「嗜好」

秋葉「兄さん、私もチョコレートを作ってみたのですが、受け取っていただけますか・・・?」
志貴「当たり前じゃないか。ありがとうな、秋葉」
秋葉「あ・・・・いえ、どういたいまして」
 顔を真っ赤にしてうつむく秋葉。

志貴「どれどれ・・・・うん?なんか変わった味だね」
秋葉「あの・・・・お口に会いませんか・・・?」
志貴「ん〜・・・そんなことはないんだけど・・・なんなんだろうね?」


 そのころ遠野家。
琥珀「あら?秋葉様の輸血用パックへっていますね・・・秋葉様、最近ちょっと血液のとりすぎかもしれませんねー」




133「意表」

 帰宅後、屋敷にて。
琥珀「はい、志貴さん」
志貴「・・・・・・・・・・・・・・・」

 琥珀に差し出されたチョコレートを前に固まる志貴。

琥珀「? 志貴さん?どうなされたんですか?」
志貴「琥珀さん・・・これ、何か変なものはいってない?」
琥珀「あははー。いくら私でもそこまでしませんよー。ささ、食べちゃってください」
志貴「(少し疑いつつも)うん・・・あ、おいしい」
琥珀「でしょう?ほら、私だっていつも同じ事ばかりはしませんよ」
志貴「うん、疑ってごめん。琥珀さん」


 なんだかかんだで一番平和なチョコだったな・・・と思う志貴だった。




134「慣れ」

琥珀「・・・・・薬に対する耐性がだいぶ強くなってますねー」
 ちょっぴり悔しそうに。




135「複雑な心境」

有彦「遠野といるとチョコはたくさんもらえるんだが・・・すごい敗北感だ」




136「情けなさ倍増」

ななこ「はいますたー。チョコレートです」
有彦「な・・・・・! ・・・・・何のつもりだお前」

ななこ「いやですね。いつもお世話になってますし、これくらいは当然ですよ」
有彦「そ、そうか・・・・」
ななこ「それでですね・・・・一応それ本命ってことになってますので・・・(顔を赤らめつつ)」
有彦「・・・・・・・・・・・・・・・くぅ!」
ななこ「? どうしたんですかますたー」


有彦「(今年唯一の本命が馬からなんて・・・・・!)」




137「内心」

有彦「・・・・・・・・・・・・・・・・・・へっ」
 それでもにやついてしまう有彦だった。




※ 138〜142は志貴視点で書いてます。激しい違和感にも目をつぶってやって
   くだされば幸いです。
138「4択」

志貴「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 朝、部屋で目を覚ますと、なぜか天井から黒と黄色、2本のロープがぶら下がっていた。

志貴「絶対琥珀さんの仕業だ」

 うん、まちがいない。しかもよく見るとこの色かなり微妙な組み合わせだ。

 しかし、この怪しいロープ・・・引けば一体何が起きるというのか・・・
 ひ、ひいてみたい・・・!

1.ずばり黒を引くのだ!
2.・・・・・・・黄色をひいてみる?
3.ええい、まだるっこしい!二本同時だ!
4.いやいや、どう考えても罠だろこれ。ひかない。




139「1:基本」

ずばり黒を引くのだ!

 なぜ自分の部屋にこんなもんがぶら下がってるとかいう当然の疑問はとりあえずうっちゃって黒いロープを引くのだ!

志貴「よいしょぉ!」

 勢いよく紐を引くと同時に足元、いや、部屋の床全てが消失する。

志貴「また調教コースかよ・・・・!あぁぁぁぁぁぁ・・・・(フェードアウト)」


 その後、志貴を起こしに来た翡翠も巻き添えを食ったとか。



140「2:とばっちり」

・・・・・黄色を引いてみる?

 あんなどす黒い色をしたロープにさわれるか。いや、黄色のロープというのもいかがなものかとは思うのだが。

志貴「じゃあ、引いてみるか・・・」

 くい。

 しーん・・・・・・
志貴「あれ?なんだ?はずれ?」


 同時刻。
シエル「なにごとですか!!?」


 シエル邸壊滅。当然同じアパートの住人も宿無しに。




141「3:オチはセルフサービスで。」

ええい、まだるっこしい!二本同時だ!

 ふふふ・・・二本あるからといって一本にしぼる必要はあるまい。そう、二本同時に引くのだ!

 それ! ━━━━━━━━ガタン。


 紐を引くと同時に視界が真っ黒になる。
志貴「うわ!なんだ!?何が起きたんだ!?・・・・いた!なんだ!?誰だお前!?ちょ、ちょっと、そ、そんな・・・3回同時になんて・・・・!」




142「4:君子危うきに近寄らずにrepeat again」

いやいや、どう考えても罠だろこれ。ひかない。

 なぜろくな目にあわないとわかっていてこんな紐を引かねばならんのか。無視してさっさと起きる事にした。

 ━━と、ドアを開けた瞬間。
 プスリ、と首筋に何かがささった。
琥珀「あはー。ダメですよ、志貴さん。ちゃんと何か引かないと」

 朦朧としていく意識。
志貴「こ、琥珀さん・・・なんでこんなことを・・・・」
琥珀「いえ、ちょっと志貴さんで遊ぼうかなと。大丈夫です。志貴さんに害のない選択肢も混ざってますから。では、がんばってくださいね」


 薄れゆく景色の中で思った。

 オレに害のない選択肢が一番被害がでかいけどな、と。


 repeat again━━




143「前フリ」

志貴「先輩。一つ聞いていい?」
シエル「なんですか?遠野君」
志貴「先輩がカレー好きになったのには何か理由があるの?」
 志貴がそういうとシエルはうつむいてしまった。

志貴「先輩?おれ、何か気に障ることでも言った?」

シエル「・・・いえ、遠野君には話しておくべきでしたね・・・遠野君。私はですね、ほんとはカレーが好きなわけではないんですよ。そんな演技をしているだけなんです」
志貴「演技?何でまたそんなことを・・・」
シエル「そうでもしないと・・・やっていけなかったんですよ・・・・」
志貴「先輩・・・」




144「起源」

シエル「あれは私が埋葬期間にはいって最初の仕事をしたときです。死徒・・・空柩のキルシュタインに呪いをかけられたんです」
志貴「呪い?」

シエル「はい、その呪いとは・・・カレーを食べなければ死ぬというものです。その呪いにより私はカレーを食べ続けなければいけないんです」
志貴「先輩・・・」

シエル「そこで私は自分に暗示をかけたんです。カレーが好きだ。とね・・・」
志貴「先輩・・・その・・・」
 何か言いづらい事をシエルに言おうとする志貴に微笑みかけるシエル。

シエル「つまらない話をしてしまいましたね。遠野君、今の話は忘れてください」
志貴「いや、そういうことじゃなくて・・・」
シエル「なんですか?」


志貴「・・・・・・・・・・嘘だろその話」
シエル「やっぱわかりますか?」




145「知らぬが仏」

有彦「ああ、いいなあ・・・先輩・・・」
志貴「どうしたんだいきなり」
有彦「いや、ちょっと先輩のこと考えててな。うん、先輩の大人びてるところはうちのクラスの女子にはないな」
 有彦のことばに考え込む志貴。

志貴「(えっと・・・先輩がロアになったのが八年前・・・当時16歳だから、実年齢は24歳になるわけか・・・に、24!?24歳の女子校生!?うっわ、かなり痛いな・・・・・)」
有彦「? どうしたんだ遠野。急に考え込んで」
志貴「いや、世の中には知らない方がいい事もあるんだなってさ・・・」




146「朱が交わって真っ黒け」

 浅上女学園にて。
瀬尾「やっぱたまには志貴さんが攻めというのも・・・」
秋葉「なにをいうんです!兄さんは総受けです!」
蒼香「いや、大将の意外な一面がみれるかもしれなぞ?何事も挑戦だと私は思うんだがね」

 瀬尾が入って以来、浅上ではなにかが変わりつつあった。




147「触れちゃいけない部分」

志貴「先輩・・・もうすぐ卒業だね」
シエル「ええ、そうですね。それがどうかしましたか?」
志貴「いや、先輩に会える時間が減っちゃうな・・・って思ってさ」
シエル「なんだ。そんなことですか」
志貴「え?」
シエル「大丈夫です。もう一回入り込みますから。そうですね・・・遠野君と同じ学年にでも・・・いえ、いっそのこと後輩になって遠野君を先輩って呼ぶのも捨てがたいですね・・・」

志貴「先輩・・・」
シエル「なんですか遠野君?」
志貴「それ、どっちも無理がある設定のような━━」
シエル「それ以上いったらぶっとばしますよ」
志貴「す、すいません・・・」



148「物事の限界」

志貴「でもほんとは自分が一番そのことわかってるんでしょ?」
シエル「ええ・・・・・・(しみじみと)」




149「どっちよりなのか」

有彦「おいななこ」
ななこ「なんですか?」
有彦「おまえ、にんじん以外には何食うんだ?おまえが馬よりなのか人間よりなのか、ちょっと気になってな」

ななこ「馬というか一角獣、おばかなますたーにもわかるようにいえばユニコーンですね。ええ、そうですね・・・純潔の乙女なんかも食べたり・・・」
有彦「ちょっとまて!!それ本気か!?」
ななこ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
有彦「黙り込むんじゃねえ!」



150「注釈」

 有彦のいない乾邸にて。
ななこ「ユニコーンは純潔の乙女を精霊界につれさる、といわれていますが食べてしまう、という記述はありません」


一子「なにひとりでぶつぶつ言ってるんだ?」









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