琥珀さんと年越し









「ふう……」


 12月31日……今日は大晦日だ。  
 今年も色々あったけど、今日で終わりだ。      


「どうしようかなぁ……」      

 そんな日の夜にベッドに横になりながら俺は悩んでいた。  
 12時が過ぎるまで起きていようか、寝てしまおうか。  
 この家では大晦日といえど就寝時間はきっちりしている。  
 そのため、全員で起きているとかいうイベントはない。  
 つまり、起きているなら1人で起きていないといけないのだ。  
 しかもテレビも何も無いこの部屋で。      


 コンコン    


「ん?」      


 そんなことを悩んでいる時、部屋のドアがノックされる音が響いた。  
 こんな時間に誰だろうか……ちなみに今は11時30分くらいだ。    


「志貴さん、起きていますか?」      


 ドアの向こうから声が聞こえる。  
 琥珀さんの声だ。  
 琥珀さんは廊下に響かせないようにするためか、声を小さくしている。  
 その所為か、最初は誰か良く分からなかった。    


「起きてますよ。どうぞ入ってきてください」      


「はい、失礼しますね」      


 ガチャ      


 ドアを開けて琥珀さんが部屋に入ってくる。  
 そこにはいつもの笑顔の琥珀さんが居た。  
 しかし、少し違和感がある……服装が違ったのだ。    


「……寝巻き?」      

「はい、今日はパジャマでお邪魔です」        

 ネタが多少(かなり)古い琥珀さん。  
 もしかしてあのテレビは実は昔の番組しかやらないのだろうか。  
 いや、単なる琥珀さんの趣味かもしれない……どんな趣味だよ。  
 とにかく、琥珀さんは和服ではなくパジャマに身を包んでいた。  
 特に模様は無いが、赤紫で琥珀さんにピッタリな感じだった。  
  ただ、一番上のボタンが止められていないのは何故だろうか?  
 もしかして誘ってますかね?      


「ど、どうしたんですかこんな時間に?」      


「いえ、今日は一緒に夜を明かそうかと思いまして」      


「え、ええぇぇぇぇぇ!?」      


 な、何を言っているのだろうかこの人は?  
 一緒に……誰と誰が?  
 いや、今ここには俺と琥珀さんしか居ないから……  
 ま、マジですか。    


「志貴さん、秋葉さまや翡翠ちゃんが起きてしまいますよ」      


 何時もの『めっ』といったポーズで俺を制す琥珀さん。  
 その行動すらも何時もの通りなのだが、その格好であんまり屈まないで欲しい。  
 だってボタンがちゃんと閉まってないから……その……      


「す、すいません」         


 取り合えず自分に非があるので素直に謝る。  
 それを聞いて琥珀さんはにっこりと笑う。  
 その表情のまま俺の前に来る。        


「と、いうことで今夜はよろしくお願いします」      


「だ、だからどういうことなんですか?」      


 先ほどから疑問に思っていることを聞く。  
 何故この人はいきなり部屋に来て『一緒に夜を明かそう』なんて言っているのか。  
 パジャマなのは……まあこの際別にいいことなんだけど。      


「わたしが一緒じゃ嫌ですか……?」      


 少し涙目になる琥珀さん。  
 いや、絶対それ嘘泣きでしょう。        


「い、いえそういうわけじゃないです!」      


 それでも取り合えず謝っておく。  
 後で何されるかわかったもんじゃないからな。  
 それに一緒に居れるというならこっちから頼みたいく いだしな。      


「ありがとうございます志貴さん」      


 ほら、やっぱり嘘泣きだし。  
 琥珀さんの涙って信用ないもんなぁ。        


「実はですね、折角ですので新年を志貴さんと迎えようかと思ったんです」      


「お、俺と?」      


「はい。今年の最後と来年の最初を志貴さんと一緒に迎えたいんです」      


 ものすごく嬉しいことを言ってくれる琥珀さん。  
 なんていうか……聞いている方が恥ずかしいです。  
 特に今はパジャマという、必殺武器の一つを身につけてますし……    


「駄目ですか……?」      


「いえ!よろこんで!」      


「ありがとうございます」      


 そう言ってベッドに腰掛ける琥珀さん。  
 ああ、なんだか理性が持ちそうに無いな。  
 大丈夫だろうか、俺?      


「今年も後30分も無いんですね……」      


「うん……早いね」      


 光陰矢のごとしというがまさにその通りだろう。  
 楽しい時間はすぐさま過ぎ去っていってしまう。  
 特に琥珀さんと居ると毎日が楽しかった。  
 琥珀さんの笑顔はいつも俺を幸せな気持ちにさせてくれ た。  
 まあ、時々悪魔の笑みに見えないことも無いけど。      


「どうかしましたか志貴さん?」      


「えっ?いやなんでもないです」      


 どうやらしらずのうちに琥珀さんの顔を見つめてしまったらしい。  
 最近はこんな感じで琥珀さんの顔を見ていることが多い。  
 しらずのうちに琥珀さんを求めているのかもしれないな。      


「顔が赤いですよ?風邪ですか?」      


「だ、大丈夫です」      


 やばい……1度意識しだすと止まらない。  
 確かに秋葉とかには内緒にしているが俺と琥珀さんは付き合っている。  
 だからそういう……大人なことも何度かは経験している。  
 まあ、秋葉とかの目も有るから数得るほどしかしていないが。  
 それでも俺は毎日が幸せの日々だった。      


「もしかしてわたしの事考えていますか?」      


「あ……はい」      


 図星を突かれ、思わず正直に返事をしてしまう俺。  
 やっぱり琥珀さんは全てをお見通しのような気がした。      


「酷いですね〜。目の前にわたしが居るのに、なに想像していたんですか?」      


「な、なにも考えていませんよ……」      


「ふふ、そういうことにしておきましょうか」      


 目の前に琥珀さんの笑顔。  
 いつも見ているけど、見るたびにドキドキしてしまう笑顔。  
 向日葵のような、太陽のような笑顔。      


「志貴さん、もうすぐですよ」      


「はい、あと3分ですね……」      


 今年もあと僅かとなった。  
 やはり最後の最後まで時間は早く過ぎる。  
 だが、その先にはまた新しい時間が待っているのだ。      


「あと1分……」      


 心なしかわくわくしてくる自分。  
 それは琥珀さんも同じらしい。  
 時計を見つめる目がゲームをしているときのそれと似ている。  
 本当に、こういうイベントがすきなんだろう。      


「10……9……8……7……」      


「6……5……4……3……」      


「2……」      


「1……」      


「「0!」」      


 ついに新年が明ける。  
 ここにはカレンダーとかはないが、今日は1月1日。  
 年の始まりの日。      


「あけましておめでとうございます、志貴さん」      


「あけましておめでとうございます、琥珀さん」      


 さあ、今年も頑張ろう……琥珀さんと共に。  
 何があっても大丈夫、琥珀さんの笑顔があれば。  
 琥珀さんが一緒に居てくれるだけで、俺は強くなれる気がする。  
 だから琥珀さん……ずっと一緒に。      


「今年もよろしくお願いします」  


--------------------------------------------------   と、言うことでリンク記念SSです☆   うわ、しょぼい……   まあ時期ネタと言うことで勘弁してくださいw   それでは、これからもよろしくお願いします☆







もうね、なんかすっごい申し訳ない。
こっちは全然SS書いてないのにこっちだけこんなさくさく公開しちゃって。

なんかこうまったりとできますね。
うん、こういうSSを書けるようになりたいもんだ。








戻る

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO