らいおんの一日
らいおんの1日
〜おまけ〜 朝日の眩しさに目を覚ます。 自分の部屋で目を覚ますのが久しぶりに感じる。 それもそのはず、平日は土蔵で疲れ果てるまで修練をしてそのまま就寝。 早朝にやってくる桜に起こされるのがパターン。部屋で寝るのなんて週末くらい。 久しぶりに感じるのも当然か。 身体を起こして伸び。全身に若干の疲労感。 うーん、睡眠時間は充分な筈なんだが、昨日はちょっと頑張りすぎたな……。 なんと言うか、若気の至りというか、月一だと溜まりに溜まった分が燃え上がるというか。 ……朝っぱらから何考えてるんだか。 まぁ俺のせいとばかりは言えないよな。遠坂も一般家庭の夕食にスッポンなんか出すか普通……。 さて、さっさと布団を畳んで朝食の準備をするか。 あんまりのんびりしていると休日なのに、早朝に家にやってくる桜に台所を占拠されてしまう。 さぁ布団を畳もうと、掛け布団を持って……硬直。 セイバーが、俺が寝ていた布団で、気持ちよさそーに寝息を立てています。 つまり、俺は、セイバーと、一緒に、寝ていたと。 あー、あー、落ち着け俺。布団から視線を離して考える。 昨日は遠坂と、そのーアレした後に朝は桜と藤ねぇが来るから別々の部屋で寝ようって事になったんだ。 で、俺は風呂に入って自分の部屋に戻ってきたと。 で、自分で布団を敷いて1人で寝たと。うん、間違いない。 視線を布団に戻す。 起きる気配の無いセイバー。 ……なんでさ。 まぁね実はさ、伸びをするために身体を起こした瞬間に気付いてたよ。 妙にこんもり膨らんでる布団が目に入ってさ。でもまぁ第六感っていうの?魔術使いの感ってヤツ。 それが働いて、それには触れないよ―に、何事も無く一日が始まる風を装ってみたら、 ひょっとしたら何にも無いんじゃないかなー、寝てる間に無意識に地蔵でも投影してみちゃったかなー。 なんて淡い期待を抱いていたわけですよフェイカーこと衛宮士郎は。 そんな誰に聞かせるわけでもない取り止めの無い事を心の中で呟いていると、 襖の向こうから地の底から響くような低い声。 「しろーう。牛乳切れてるわよー。コンビニまでひとっ走りして買ってきてー」 オウ、ゴット。なぜ貴方は牛乳が切れてて不機嫌なあくまが、 セイバーが寝ている(ここ重要)俺の部屋に来るという素敵イベントを起こしてくれやがりますか!? くっそぅ。昨日の買出しのときに牛乳(低温殺菌)を買い忘れるとは……なんたる不覚! このままでは、セイバーが「……シロウ」なんて寝言呟きながら幸せそうに寝ている俺の部屋に 赤いあくまこと遠坂が入ってきてしまう! こんな所を見られた日には、「赤いあくま」が「赤いまおう」に進化し、 爽やかな週末の朝が一転して阿鼻叫喚の終末の朝に……! 「士郎?まだ寝てんのー?――なんだ起きてるじゃ……」 「やぁっ、おはよう遠坂!」 無駄だと思いつつも爽やか路線で軽やかに挨拶。 所詮、俺にできることなんてたかが知れているのさ……。 「……」 「……」 ち、沈黙が痛い……。 まおうだ、まおうが此処に居る……。 「ねぇ衛宮くん?」 「ハイ。ナンデショウカ遠坂サン」 「朝ごはん食べてないわよね?」 「そりゃ……起きたばっかりだしまだだけど」 ひょっとして俺、助かる?助かる?バンザーイ神様ありがとー。 今だったら遠坂特製マーボーも藤ねぇの料理モドキも喜んで食べさせて頂きます! 命が無くなるよりはマシさ! 「そう、それじゃわたしが用意して食べさせてあげるわ。……道場でね」 ……ど、道場デスカ? ひょっとして、それは、「朝飯代わりにわたしの拳を喰らいやがれ」ということデスカ? つまり朝食という名の折檻デスカ? 心が恐怖に塗り潰されていく。起き抜けで空っぽの胃がシクシクと痛いゼ。 脂汗をダラダラと流しながらも、僅かに残っているハズの希望にすがり ソロリソロリと視線で赤いまおうに問い掛ける。 その前に話くらい聞いてくれても損は無いと愚考いたす所存にございますがコレいかに? 「……」 「……」 素敵だ……。素敵過ぎる笑顔だ……。 むんずっ、と襟首を引っつかまれて道場に強制連行される衛宮士郎こと俺。 さようなら爽やかな朝。こんにちはまおうの折檻。 どうやら土日の休日は完全に寝たきりで過ごす事を覚悟しなければならないらしい。 End ----------------------------------------------------------------- あとがき ----------------------------------------------------------------- 読了ありがとうございます。 随分と間が空いてしまいましたが、またお目にかかることが出来ました。 浅葱祐吏でございます。 今作「らいおんの1日」ですが、「桜日記」をセイバー視点で書いたものです。 もっとも重なって展開しているのは朝の衛宮家の食卓風景くらいなんですけどね。 さて、今回は解説じみたことをやってみましょうかね。 今回は「黒さは控えめ。可愛らしさを前面に」を意識して書いてみました。 なので、「桜日記」のような黒さを期待してらした方には、 期待はずれだったかもしれません。ご容赦を。 なんて偉そうな事言ってますが要するに、 赤面したセイバーさんが書ければそれでOK! な訳だったんですねー、はい。セイバー分補給。 妊娠疑惑を士郎くんに告白するセイバーさん。 寝言で士郎くんの名を呟いてるセイバーさん。 電子レンジに興味津々なセイバーさん。 寝ぼけて士郎くんにおねだりするセイバーさん。 食事に細工されて■に殺意を抱くセイバーさん。……アレ? それと読んでてお気づきになった方も多いと思いますが、 セイバーさんトイレ近いです。 まぁコレには理由がありまして、喰っちゃ寝、喰っちゃ寝の生活を送っている セイバーさんですが(あくまで浅葱の中のセイバー像)、何故太らないんだろー? という疑問に対する1つの回答といいますか。 えー、すなわち「食べたらすぐ出す」(食事中の方ゴメンナサイ) という訳で、セイバーさんにはこまめにトイレに行ってもらっています。 あとオマケですが、 セイバーさんを泣かせた士郎くんに天誅。以上。 では今回はこの辺で。 また機会がありましたら、お目にかかりましょう。 |
浅葱祐吏さんありがとうございました。
桜日記のセイバー視点ということで、なんかもういよいよもって俺日記シリーズに手を出せません。
まあ、せっかくですから書ける方に書いていただくのがいいでしょうし。
あるなら続きや別の人のも見てみたいですね。
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