どきっ 知り合いだらけの聖杯戦争?!出入り編前編









「まったく、どうやったら英霊を素手でぶちのめせるんだよ・・・・」
ぶつぶつ言いながらガレキをどかしていく綾子。
さらに彼女はぶつくさ言う。
「―――こんだけのことができるんならアンタが素手でサーヴァントとやりあったほうがいいんじゃない
の?。」
「失礼なこと言うわね。それじゃあまるで私が蒔寺みたく体力バカみたいじゃないの」
「違うのか?」
こんのアマ・・・。
私はあくまで優雅に言ってやった。
「私はか弱い乙女なのよ。あんなのと一緒にしないで」
「ほほう。」
と、それまでこちらに背を向けて作業していた彼女がくるりと振り向いた。
「か弱い乙女が」
なにが気に食わないのかぶるぶると肩を震わしてる。
「人の顔こんなにするかよ!!!」
と、自分の顔を指差す。
おかしいなーなにがどうしたのかしら。
「いつも通りの綾子じゃないの。」
「人の顔めちゃくちゃにしてよくそんなこと言えるな!!」
めちゃくちゃなんてそんな。
たかだかほっぺたがマスクメロン大に膨れ上がってるだけじゃない。
「二、三発平手打ちしたくらいで崩れるなんて、もろい顔ねー」
「六発だ!!。しかも指と指との間にコンクリート片挟み込んで、な!!!」
「あら、思いのほか記憶力いいのね」
「うるさい!!。つーかさっきも言ったが、いったいどうやったらサーヴァントをここまでぶちのめすことができるんだよ!!それも素手で!!」
この時点で、私もキレた。
「がたがたうっさいわね!!。それだけで済ませてあげたことを感謝しなさいよ!!」
「これ以上やられたら死んじまうわ!!」
「つーか私からも言いたいことがある!!。どうやったら居間の片付けしてたら家の土台をぶち抜けるわけ?!。そっちのほうが不思議じゃないの!!」
「だーかーらー。さっきから言ってるじゃないの。力加減間違えちゃったって。だいたい私は戦うために召喚されたんであって、間違ってもガレキの片付けをするために召喚されたんじゃ無い!!。つーか、片付けをサーヴァントに命ずる方が非常識ってもんでしょうが!!。」
「自分がやったことは自分でカタをつけるって世の常識じゃないの!!」
厳密に言えばサーヴァントの召喚を失敗させてしまった私の責任も無きにしも非ずなんだが、そのことは伏せとこう。
彼女は唸るように言った。
「かわいくねぇ女・・・。」
「かわいくないのはアンタも同じでしょう。」
「私の方があんたに比べたらかわいい」
「あーら、男勝りどころか男そのものの武人、美綴綾子さんがかわいい?。面白い冗談聞いたわ。それなら蒔寺は深窓の令嬢で氷室さんはアイドルタレント。三枝さんはかわいさをつかさどる神ね。」
「・・・・こいつ」
「なによ。殺るっての?」
殺気と怒気が膨れ上がる。
一触即発の空気が流れたその時
「くあああああああああつ!!!!!!!!」
と、どっかで聞いたことあるような怒鳴り声が響いた。

〈どきっ 知り合いだらけの聖杯戦争?!出入り編前編〉

声のしたほうを見る。庭に生えてる木のてっぺんからだ。
そこには顔は布で覆い、手には自分の背丈よりやや大きいくらいの薙刀を握った、昔の絵画に出てくる僧兵みたいな人物が立っていた。しかしその体格は絵の僧兵に比べると貧弱な印象を受ける。
出来損ないの武蔵坊弁慶、といったところか。
出来損ないの弁慶は木から飛び降りると、私達に言った。
「お前ら、深夜に何をくだらないことで言い争いをしておる。近所迷惑だと思わんのか?」
う、痛いところをつくな。さらに弁慶は続ける。
「だいたい家が倒壊してこれだけの騒ぎを起こしているのに何故隣近所の住民が誰も見に来ないのだ?。さては貴様、しょっちゅう騒ぎを起こして嫌われてるのか?」
「なに言ってるのよアンタ!。まるで私がご近所の鼻つまみ者みたいじゃないの。って綾子、そんな同情した目で私をみるなーーー!」
「遠坂・・・。近所づきあいは大切だぞ・・・。」
「だーーかーーらーー違うって言ってるじゃない!!。ただ単に人払いの結界張ってるだけよ!!。だいたいアンタ誰?!。まさか近所に住んでる者です、なんて言うんじゃないでしょうね?!」
もし冗談でもそんなことぬかしたらガンドぶち込んでやる!!。
弁慶は平然とした様子で言った。
「俺か?。俺は

サーヴァントだ」

瞬間、目の前がぶれた。
綾子が私を抱え込んで物凄いスピードで後方へ走ってるんだと気がつくまで少し時間がかかった。
ごうごうひゅんひゅんと空気が音を立てる。
・・・いや、ひゅんひゅんという音は私達を追う弁慶のその手の薙刀が立てる音だ。
どちらもまさに神速。
知覚できるのが精一杯だ。
これがサーヴァントか・・・。
思わず感嘆の声が出そうになる。
「喋るな、舌を噛むぞ」
綾子の声が妙に耳に残った。

突然体に強烈なGがかかる。
内臓が口から出そうだ、と思った時にはもう地に足がついていた。
いや、『地』では無かった。そこは木の太い枝の上だった。
「大丈夫か?。遠坂。」
綾子が言う。
「何とかね・・・。それより綾子、アンタ何考えてるのよ」
彼女はアーチャーだ。アーチャーというのは広い場所でもっとも力を発揮する。
しかしここは庭の大木の上。どう考えてもアーチャーに不利な場所だ。
しかし彼女はふっと彼女は微笑んだ。
「心配するな。―――と、来たな」
弁慶が枝の上に降り立つ。私達より遅れたのは罠かもしれないと警戒したためだろう。
弁慶は枝に薙刀を刺すと、なにかの拳法の構えをとった。
どうやらコイツは素手にも自信があるらしい。
ニヤリ、と笑う綾子。
弁慶がじりじりと間合いを詰める。
弁慶が、飛んだ。
「え。」
私は間の抜けた声しか出せなかった。
弁慶は飛んだ。横っ飛びに。何かに吹き飛ばされたように。
一拍置いてがしゃあああん、とお隣から物凄い音が鳴り響いた。
綾子の手には―――木刀が握られていた。
それでようやくわかった。弁慶をその木刀でぶっ飛ばしたんだ、ということに。
「忘れちゃあいないか。」
綾子が言った。
「私が武術の達人だってこと」

【あとがき】
戦闘シーンを始めて書きました。
疲れた・・・、つーか難しい・・・。
知り合いサーヴァントその二登場です。さーてだれでしょう?。
これからも知り合いで埋めるつもりです。つたないですがよろしくお願いします。










脇役スキーさんありがとうございました。

三作目にして二人目のサーヴァント登場ですね。
さらに驚異的な執筆スピード。連休中に溜まるかもしれませんね。







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