どきっ 知り合いだらけの聖杯戦争?!出入り編後編
山田孝雄さんは六十二歳である。 職業は小さな会社の社長さんである。 家族は四人。 同い年の奥さんと、息子さんが二人。 息子さんはすでに就職し、二人とも今は東京に住んでいる。その二人から盛んに東京に来ないかと言われていて迷っている。 その日、山田さんは早くにベットに入って眠った。 奥さんもやや遅れて眠った。 深夜―――― がしゃあああああああああん その日山田さんは運命と出会った。 〈どきっ 知り合いだらけの聖杯戦争?!出入り編後編〉 「逃がすかぁ!!」 正体不明のサーヴァントを追う綾子。 あっと言う間にお隣の家に消える。 私もその後を追う。 呪文を唱えると私は隣の家へ飛び移った。 お隣は戦場だった。 もうこれでもかってくらいめちゃくちゃで、壁には大穴は空いてるは天井は抜けてるは床にはクレーターが穿っているは家具は粉砕されているはベットは9の字になってるは(どんな状況で「9」の形になるんだろう?)もう、とにかく凄まじかった。 「えーっと・・・・」 さすがに気まずくなる。 この家の住人、生きているかな・・・・。 確か山田さんとかいう大人しそうなおじさんだったはず。 「あのー、山田さん?。生きてます、か?」 すると・・・。 「誰かね・・・?」 あ、生きていた。ガレキを楯にしてなんとかしのいだ様だ。 「私です。お隣の遠坂です」 「遠坂さんか。大丈夫だったかね」 「山田さんのほうこそ大丈夫ですか?」 「ああ、ウチのと私は大丈夫だ。しかし、今のはいったいなんだったのかな?。」 心の中でごめんなさいして私は 「さあ・・・・」 と言った。 「なんか、少年と少女がどつき合っていたように見えたが・・」 「それは―――」 どこに行きましたか?、と言う前にぎゃあああああ、という声がお隣から響いた。 「鈴木さん?」 と、山田さん。 私は外に飛び出した。 それからはひどかった。 山田さんのお隣の鈴木さんの家も同じようにひどいものだった。 そのお隣の佐藤さん、斉藤さん、下田さん、草薙さん、トグサさん等々のお宅も以下同文でめちゃくちゃになっていた。 「あああ、もう。」 何考えているのよ、綾子ーーー。 突き当たりのバトーさんのお宅にさしかかった時、バトーさんのお宅のドアが粉微塵になった。 綾子と正体不明のサーヴァントが打ち合いながら飛び出してきたのだ。 無数に繰り出される剣戟と拳。鳴り響く轟音。 ―――もはや人間には互角かそうでないかすら知覚でき無い。私はただ何もできず戦いを見守っていた。 すると・・・ バッという音が響き、両者が同時に後方に飛んだ。 正体不明のサーヴァントは十字路の突き当たりに、綾子はその正反対に着地する。 あわてて私は綾子の傍に行った。 「遠坂・・・・」 息を切らせている綾子。間合いは綾子のほうが大きいのに。相手も相当の使い手のようだ。 「遠坂。使うぞ・・・」 宝具。 サーヴァントの奥の手である宝具。それを今ここで使うというのだ。 そう、あの 『県大会で優勝した時に使った弓』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・なんか、ふつふつとやる気が削がれてきた。 つーか改めて思うんだけどいったいどんな宝具よ、これ。 すると沈黙を別の意味で解釈したのか、綾子は柔らかな笑みを浮かべ言った。 「大丈夫。この一撃で、決める」 ―――なんでこういい笑みを浮かべるかなあ、コイツは。 私は覚悟を決めた。 そうだ。私はコイツの『弓』になると誓ったんだ。 『弓』が『矢』の力を信じないわけ無いだろう。 例え宝具が『そこいらのバット』だろうが『虎竹刀』 だろうがコイツが使う以上、大丈夫だ。 確実に相手を、倒せる。 私はうなずいた。 綾子もうなずいた。 うなずくと同時に綾子の周りに視覚できるほど強大な魔力が集まり始めた。 その魔力が綾子の手の平に集中する。 すると相手のサーヴァントにも魔力が集まり始めた。 相手も使うつもりだ。宝具を。 次の一撃で、勝負が決まる。 空気が固まる。風が空気に反するように唸る。 やがて綾子の手に漆塗りの立派な、しかし綾子らしいシンプルな日本弓が具現化する。 これが『県大会で優勝した時に使った弓』。 すっと彼女はその弓に矢をつがえた。 美しい。 本当に私は綾子を美しいと感じた。 一方の相手のサーヴァントの宝具も具現化したようだ。はたしてどんな形の宝具なのだろう?。 ――――――――――――へ?―――――――――― 空気の凝固のが最高潮に達する。 風の唸りが最高潮に達する。 両者が同時に叫んだ。 「県大会で優勝した時に使った弓ーーー!!」 「毒婦をどついた立て看板ーーー!!」 「なんじゃそりゃあああああああああ!!!!!」 めごっ。 私が拳くらいの大きさの石は、相手のサーヴァントの 顔面に見事に命中した。 ひっくりかえるサーヴァント。 あ、どこからかクリティカルヒットの音楽が響いた。 「な、なぜ・・・?」 後ろから響く綾子の絶望的なつぶやきを聞き流して、私は相手のサーヴァントに怒鳴りつけた。 「なによ、そのスカな宝具は!!」 相手も負けじと身を起こし、叫ぶ。 「そっちこそなんだ。『県大会で優勝した時に使った弓』。字面だけ見ればそっちのほうこそスカであろう!!」 「『毒婦をどついた立て看板』のほうがスカよ!!」 心のどこかで五十歩百歩、って声が聞こえたような気がするが無視しておこう(開き直りって言うな)。 「だいたいなによ、その『立て看板』って!!。 剣でも弓でも槍でもなんでもないじゃない!!。それじゃあさっきの薙刀のほうがよっぽど宝具っぽいじゃ ない!!。 それともなに?。今回の聖杯戦争には新たに『立て看板をぶん回す人』ってクラスができたっていうの?!!」 こちらの剣幕にさすがに負けずに向こうも叫んだ。 「そんなわけなかろう。私は『ランサー』だ!!」 言ってから、しまったと言う。 間抜けねー。 私はにんまりと、いぢの悪い笑みを意識的に浮かべた。 「ふーん、ランサーね。」 「ふ、ふん。クラスが解ったところで真名が解らねば意味が―――」 「一成でしょう」 即答してやると向こうは完全に固まった。 「な、なぜ・・・」 ・・・なぜって、こいつ・・・。 「アンタねぇ。『毒婦』なんていう言葉、今どきアンタくらいしか使っていないわよ」 呆れたように――事実呆れたのだ――言ってやる。 くやしそうに歯軋りをして言うサーヴァント。 いや、柳桐一成。 「くっ。たばかりおったな・・・。」 『全部自滅だ』 綾子と私は同時につっこんだ。 む、確かにとそのことについては認める一成。 「まあいい。俺の正体がばれた所で」 すっと仕切りなおしのように一成の身から殺気が満ちる。 「戦いをやめるわけにはいくまい」 手に有る大看板――痔にはシエール、とか書いている ――を構えなおす。 やる気がふつふつと消えていく光景だ。とは言え相手はなんのかんの言ってもサーヴァントはサーヴァントだ。 「綾子」 「あ、ああ」 後ろから再び魔力が高ぶり始めた。 私は綾子の傍らに行こうとした。 と、その前に聞きたいことが有る。 「一成」 「?。なんだ。」 「アンタ、なんでサーヴァントになったの?」 すると今度は別の殺気が生まれた。 「―――それはキサマのせいだ、女狐め。」 「は?。私?。どういうことよ」 「それは」 ばかああああああんんんん。 轟音一つ。一成はひっくりかえった。 綾子?。 振り向くと綾子もぽかーんとした顔をしている。 綾子じゃない・・・?。 すると再びぱかーんという音がして綾子もひっくりかえった。 へ?。 その時、ばかああああん、と脳天に衝撃が走った。 そして叫び声が聞こえた。 「夜中に何騒いでるの!!??。うるさくて眠れないじゃない!!」 「子供が起きちゃうじゃないの!!」 「よくも家を壊してくれたな!!!!!」 ――――その晩、私は民衆の力は英雄より偉大だということをいやというほど実感した―――― 後日談だが山田さんはあの晩の後、東京の息子さんと 一緒に住むことを決心したらしい・・・。 【あとがき】 おひさしぶりです。 ようやく続き書けましたーーー。 こんなデキですが、よろしくお願いします。 |
脇役スキーさんありがとうございました。
さて、二人目のサーヴァントとして一成がでたわけですが……
個人的には凛を看板でどつく絵が想像できません。
多分後々死ぬ目を見たんでしょう。
さて、残りは五人。バーサーカーあたりに蒔寺が起用されるんじゃねえかと邪推。
SEO | [PR] おまとめローン 花 冷え性対策 坂本龍馬 | 動画掲示板 レンタルサーバー SEO | |