バレンタイン





バレンタイン


「う〜、志貴さん遅いなぁ……」


 雪も減ってきて、暖かい日差しが差している午後。
 それでも風は未だに冷たい。
 そんな中、わたしは公園のベンチに座って志貴さんを待っていた。


「カップルばかりだし……寂しいなぁ」


 周りを見渡せばカップルばかり。
 何せ今日はバレンタインなのだ。
 甘い香りが漂う中、わたしは1人でいるのだ。


「早くこないかな……」


 持ってきた袋の中を少し見る。
 もちろん、志貴さんの為に作ったものだ。
 何度もの練習を重ね、遠野先輩の妨害を避けて。
 そうやって頑張った成果がこれなのだ。
 遠野先輩は本当に怖かった……
 まさか……いや、思い出したくも無い。


「よし、大丈夫そう」


 天気が良いため、溶けてしまわないか心配だったが大丈夫そうだ。
 精一杯の努力をして作ったのだから、一番良い状態で渡したい。
 食べてしまえば同じだろうが、それが乙女心といったものなのだ。


「あ……志貴さんだ!!」


 公園の入り口のところで志貴さんの姿を見つけた。
 走ってきてくれたのか、肩で息をしている。
 わたしは志貴さんの居る方に向かって走っていった。
 ようやく待っていた人がきたのだ……


 ドンッ


「ごめんね、遅れちゃったみたいで……」


「いえ、会えて嬉しいです!」


 あまりの嬉しさに飛びついてしまうわたし。
 そんなわたしを受け止めてくれる志貴さん。
 よく考えるととても恥ずかしいことなんだろうけど、今日はバレンタイン。
 少しくらい羞恥心は捨ててもいいだろう。


「えへへ、志貴さん」


「あ、アキラちゃん……」


 ちょっと困ったような志貴さん。
 それでもしっかりとわたしのことを抱きしめていてくれる。
 本当、罪になるくらいの優しさをこの人は持っているのだ。


「チョコレート……受け取ってもらえますよね?」


「もちろんだよ」


 取り合えず志貴さんから少しだけ離れて、袋を開ける。
 そこでふと思い、手を止めた。


「……どうしたの?」


 チョコを一つ、手にとって口に入れる。
 そしてそのまま……


「んぐっ!?」


 志貴さんの唇に自分のそれを合わせる。
 そして口の中に入っていたチョコを志貴さんの口に移す。
 周囲の人も見ているだろう。
 もしかしたら知り合いだって居るかもしれない。
 でも今日はバレンタイン。
 少しくらいはハメを外しても良い日なのだ。


「プハッ……」


「アキラちゃん……その……ご馳走様」


 顔を真っ赤にしている志貴さん。
 どうやらこの作戦は成功した模様。
 わたしも顔の表面温度が完全に上がっている。
 心臓なんて飛び出そうなほどバクバクいっている。


「志貴さん……もう1回お願いしていいですか?」


 そう言ってもう1度口の中にチョコを放り込む。
 

「あ……うん」


 今度は志貴さんからしてくれるらしく、わたしのアゴが少し持ち上げられる。
 そしてそのまま唇同士が重ねあった。


「ん……ん〜」


 いつまでそうしているか分からない。
 ただ、ずっとこうしていたい。
 それは志貴さんも同じ気持ちのはずだ。
 いや、そうであったほしい。


「ん……」


 既に口の中にチョコはなく、甘い唾液の味だけが残っている。
 絡み合っている舌も、チョコの味がする。
 全てが甘い空間……誰にも邪魔できない空間。
 

「志貴さん……大好きです」









ぬああああああああああああああ!

溶ける!とろけてしまう!

なぜ貴方はこんなとろけるようなSSを書けますか。
俺はといえばギャグ(汚れ)かシリアス(短編、黒)オンリーだというのに・・・・


にしても・・・あー、ほんと、なぜさっちんといい晶といい、こうメインを押しのける力がありますか。
俺の中ではこの二人に対抗できるのは琥珀ぐらいのもんですよ。


ではでは、東海林さん。どうもありがとうございました。








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