遠野志貴 反転衝動









 ここに一つの風船があるとしよう。
 風船には空気が少しずつ入っていく。
 だんだんと風船は大きくなっていくが風船は自分にまだ空気が入ると信じている。
 そんなことを続けていればどうなるか。
 言うまでも無く風船は割れてしまう。
 そうして空気が無くなってしまった風船は割れてしまった自分に後悔するのだ。
 今日も一つの風船が大きな音を立てて割れる。






遠野志貴 反転衝動







 ターン翡翠

 今日も朝が来ました。志貴様を起こしに行く時間です。
 他のところでは皆さんに遅れをとりますけど、ここだけは私が志貴様を独占できる時間です。
 志貴様の寝顔はウットリするぐらい美しいのですが仕事なので起こさなければなりません。

翡翠「志貴様・・・志貴様、朝です。お目覚めください」
志貴「んん・・・・翡翠?」
翡翠「はい。おはようございます志貴様」
志貴「ん・・・」

 ぎゅ・・・・・

 一瞬パニックになる。なんで?どうなってるの?
 志貴さまが私に抱きついてくるなんて!

翡翠「し、志貴様・・・!おやめください!」
志貴「やめてもいいの?」
翡翠「そ・・・それは・・・」

 もちろんそんなことは無い。私だって志貴様とこうなれたら、と思っていた。
 じゃあ・・・・もう少しこうしていても・・・



秋葉「兄さん!いつまで寝てるんで━━━━」


 あ。



秋葉様・・・なんてタイミングで・・・



 業を煮やして志貴様の部屋にこられた秋葉様は一瞬固まったあと。
秋葉「兄さん・・・どういうことですか・・・?」

 口調は丁寧だけどすごく怒っていらっしゃる・・・・
 髪の毛もほんのり赤くなってきてるし・・・

 残念だけどこれ以上いると志貴様にもご迷惑がかかりますし━━━━


志貴「い、いや・・・・!これは、その・・・!翡翠が・・・・・」



えええぇええぇぇ!!??


 そんな・・・あれは志貴様から・・・

秋葉「・・・・・・・・・」

 って秋葉様もこっちを睨んでるし!

秋葉「翡翠・・・・ちょっと話があるのだけれど」
翡翠「は、はい・・・・・・」


 もしこの場で反論しようものなら略奪されそうなので(主に胸とかを)おとなしく秋葉様についていくことにした・・・・・








 ターンアルクェイド

アルク「う〜ん・・・・」
 朝、ふとした拍子に目覚めた。時計を見るとまだ7時ちょっと過ぎ。なんでこんな時間に目が覚めたんだろう?

アルク「ま、そんなことはどうでもいいか。二度寝二度寝っと・・・♪」

 そのとき。

 ピンポーン♪


 玄関から軽快な電子音が聞こえる。

アルク「もう、誰よこんな時間に・・・」
志貴「入るぞー。起きてるかー?」

 と志貴が合鍵を使って入ってきた。
 まあ、志貴が朝来るときに合鍵を使うのはいつもの事なのでそれはいいんだけど・・・

アルク「んー?起きてるよー・・・おはよう志貴。どうしたの?」
志貴「いや、朝飯作りに来ただけなんだけど。どうせ準備してないんだろ?」
アルク「うん。志貴が作ってくれるんだ?」
志貴「ああ。ラーメンでいいか?」
アルク「もちろん♪」

 志貴の作る「ラーメン」とかいうものはホントにおいしかった。
 普通は朝からそんなものを食べるのはおかしいらしいけど、私はそんなこと気にしないし。
 ただ・・・


アルク「志貴ー。ニンニクはいれないでねー」
志貴「ああ、わかってるよ」

 そう、志貴は以前ニンニクを入れてきた。
 志貴ったら私が吸血鬼だってこと完璧に忘れてるんだから。
 まあ、もう冷蔵庫にニンニクなんて入ってないけど。


 10分後。志貴がラーメンを持ってきた。
志貴「ほら、できたぞ」
アルク「うん、ありがとー志貴」
志貴「じゃ、俺学校行くから」
アルク「えー!一緒にいてくれないのー?」
志貴「いっただろ、朝めしを作りにきただけだって。また週末に遊んでやるから、それでいいだろ?」
アルク「うん・・・じゃあ、我慢する・・・」

 志貴が一緒にいてくれないのは寂しいけど、とりあえず今度の週末志貴と遊ぶ約束ができたから今回はそれでよしとしよう。

志貴「じゃあな、アルクェイド」
アルク「うん、約束だからね」

 志貴を見送ってラーメンを食べることにした。
 麺が延びてないかどうかちょっと心配だったけど大丈夫みたいだ。
アルク「さてと・・じゃ、いただきまーす♪」

ずる・・・・

 最初の一口で戦慄が走った。
アルク「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・志貴ー!!」





 それは、これでもかって言うくらいのニンニクラーメンだった。








 ターンシエル

 今日も授業の半分が終わりました。食堂にいってご飯にしましょう♪

 食堂でカレーを頼んで・・・と。
 さ、カレーも手に入ったところでどこで食べようかな?

 おや?あそこに座ってるのは遠野君ですかね?もう半分くらい食べてるみたいだけど、隣に座ってもいいかな?

シエル「遠野君、お隣いいですか?」
志貴「ああ、いいですよ。でも俺もう結構食べてるからあんまり一緒にいれないけど」
シエル「はい、それでは失礼しますね」
 よし、遠野君のお隣ゲットです♪


 私が半分くらい食べ終わったころには遠野君はもう食べ終わっていた。
志貴「先輩。ここのドレッシング、カレーによく合うって知ってた?」
シエル「ええ!?そうなんですか!?」

 私はおよそカレーに関することであれば大抵の情報は入手しているんですけど・・・

志貴「うん、俺も言われてから試してみたけどすごくおいしかったよ」

 遠野君が言うからには本当なんでしょう。いまから試してみようかな?

志貴「じゃあ、俺そろそろいくから」
シエル「はい、どうもありがとうございます」

 そうして志貴君は食堂から去っていった。
 さて、じゃあ言われたとおりドレッシングをかけてみましょうかね。
 どんな味になるやら・・・・


シエル「・・・・・・・・・・・・・・・・」
 一口食べたとたんに、一瞬思考が吹き飛んだ。
 たしかに一般人にはおいしいかもしれない。味もわりと悪くない方だろう。

 でも、それでも・・・この味は・・・この味は・・・・

シエル「ハヤシライスじゃないですか!!」

 こうして私は遠野君への復讐を誓った・・・








 ターン秋葉

 今私は屋敷にいる。
 今日は学校も早く終わって習い事も無いので今はロビーで紅茶を飲んでいる。

志貴「ただいまー」

 兄さんが帰ってきたらしい。
志貴「あれ?今日は早いんだな秋葉」
秋葉「ええ。今日はちょっと特別なので」
志貴「そっか・・・・隣いいか?」
秋葉「え?ええ、どうぞ」

 兄さんが私と一緒にお茶するなんて滅多に無い事だ。私も自然と心が明るくなる。


 そうしてしばらく兄さんとくだらない話をした。
 何の得るものが無い非生産的な時間だったが、たまにはこんな風に無為に過ごすのもいいかもしれない。

秋葉「さて・・・じゃあ私はそろそろ部屋の方に戻りますね」
 そういって私はロビーを後にしようとして・・・・
志貴「あ、そうだ秋葉」
秋葉「はい?」
 呼ばれて振り向いた途端に固まってしまった。
 でもそれもしょうがないだろう。誰だって固まるはずだ。いきなり胸をつかまれていたら。


秋葉「あ、あの・・・・・兄さん?」
志貴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 兄さんは何も言わない。私はしばらく何の反応も示せずにぼうっ、としていたが
 やっと状況が把握できてきて兄さんを問い詰めようとした時。

志貴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ」
秋葉「━━━━━━━━━━━━!!!!」

 今度は別の理由で固まってしまった。
 そうして兄さんは固まってる私を尻目に一人スタスタとロビーから去ってしまった。








 ターン志貴

 こうして一日を過ごして自分の部屋に戻ってきた。
志貴「ふぅ、結構みんな単純だなぁ」

 全く、さっきの秋葉の顔なんて思い出しただけでも笑えてくる。だめだ・・・思い出したらホントに笑えて来た・・・
志貴「は・・・・あははははは!」

 ああ、もうダメだ。笑いが止まらない。
志貴「はは!ははははは・・・・・・・・・・・・・・・はぁ?」

 目の前のもやが晴れるように、急に正気に戻った。

志貴「お・・・俺は今までなんてことを・・・・」

 なぜ自分があんな行動をとったのかわからない。
 普段なら今日やった事の全てが自殺行為だと理解できているはずだ。
 しかし、今日はそれがやっちゃいけない行動だってことすら頭に浮かばなかった。

志貴「まさか・・・」
 そのとき頭に浮かんだのは、反転衝動という言葉。
 確かに以前翡翠に起こったように、自分にも起こりえる話ではあるが・・・

志貴「まずい・・・・」

 そうこれはかなりまずい。あんなことをしたという罪悪感も確かにあるが、一番の問題は━━━━

ドンドン!ドンドン!

秋葉「兄さん!いるんでしょう!?出てきてください!!話があります!」
琥珀「志貴さん!翡翠ちゃんになにしたんですか!?翡翠ちゃんを泣かすなんて、いくら志貴さんでも許しませんよ!」

志貴「ひぃ!」

 来た。もしここでつかまったのなら、生まれたことを後悔するような事になるのは目に見えてる。



 激しく叩かれるドアからあとずさるようにして逃げた。

志貴「ドアはダメだ・・・窓から・・・」

 と、窓の方へ目をやったところでまたも絶望的な光景を目にすることになった。

アルク「志貴・・・今朝はよくもやってくれたわね・・・・・」
シエル「遠野君、覚悟してください・・・よくもこの私にあんな仕打ちを・・・・・」

志貴「だー!!」
 こっちもだめだ!どうすればいい!?な、何か、どこかに逃げ道は無いのか!?考えろ!落ち着いて考えるんだ!きっと逃げ道はある!落ち着いて・・・って落ち着けるか!

 もうどうすればいいのか・・・・・ああ、そうか・・・こうすればいいのか・・・・












 結局このあと「気絶」という絶対的な逃げを行った志貴だったが、目が覚めた瞬間に地獄を見たという。








まずは一言。

黄昏のあーもんどさんすいません!!

こんなへたれSSに仕上がってしまいました。
琥珀さんにいたっては最後にちょっとでてるだけだし・・・・


でもいいんだ。僕はシリアスとか恋愛とかの方がかけるんだ!


ごめん、強がった。








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