本日は晴天なり。






 ハロー。ハロー。聞こえてますか?

 こちら下界です。そちらのお天気をお知らせください。












本日は晴天なり。









「なにしてるの?」
「いや、なんかおもしろいことねえかな、と思ってな」


 どこぞの高校の制服を着込んで髪を二つに束ねた女の子が聞いて、和服に身を包んだ白髪の男が答える。


「おもしろいことって……下の世界なんか見ても楽しいことなんて━━━━」
「お! 秋葉だ! くー! 相変わらずかわいいなぁ畜生!」
「聞いてないし……」
「おい、おまえもこっち来て一緒にみないか? なかなかおもしろいぞ」
「わ、わたしは別に……」
「あ、秋葉! ……くそ、そんな伊達眼鏡のどこが━━━━」
「し、志貴君!? ちょっとどいて!」
「あごふっ!!」

 「伊達眼鏡」という言葉に反応した女の子が男を押しのけて、というか力づくで弾き飛ばす。遠野四季様、5番と6番ブレイクアウトです。


「ああ〜……志貴君……いいなあ、わたしもあんな風に話せたらなあ……」

「か…ぐ……かはっ……」

「あ、あ……あんなうれしそうにしてる……優しいんだなぁ……」

「さつきさん。お楽しみのところ大変申し訳ないのですが……」

「でも、そのやさしさが女の子には辛いこともあるんだよね……」

「俺、ちょっとやばそうです……」




 女の子の独り言はヒューヒューとやば気な呼吸で助けを求める男を華麗に放置してなおも続行中。

 げに恐ろしきは恋する乙女。

 その後、遠野四季は弓塚さつきが妄想の世界から帰還するまで二時間、魂の消滅と壮絶な戦いを繰り広げることになる。












「…………死ぬかと思ったぞ」
「……ごめんなさい」
「……これからは気をつけろよ」
「善処します……」
「……訂正。こっちで気をつける」

 半ばあきらめた表情で男が呟く。さつきには悪いが、どうも無意識にやってるようなので、自分が気をつけないと毎回生死の境をさまようことになりかねないと判断したらしい。
 とりあえず、遠野志貴に関する話題を極力避けるくらいしか対策が無いのが泣ける話ではあるのだが。

「ったく、そんなに好きならこの前一緒にきて酒飲んでりゃよかったんだ」
「む。わたしお酒飲めないもん」
「にしたって、話くらいしてもよかったんじゃないか?」
「…………あんたにはわからないわよ………」
「……それもそうだな、俺にはさっぱりわからん。好きなら好きって言えばいいんだ。特にあいつはそういうことに関しては国宝級の鈍さだからな」
「否定できないのが悲しいところね……」
「大体、お前は溜めすぎなんだよ。なんでも抱え込んでると、そのうちパンクするぞ? いい女ってのはたまにはわがままいうもんだ」
「なによ、そのいい女ってのは……」
「言葉のとおりだ。いいか、いい女ってのはな。秋葉みたいに純情で」
「なるほど。純情で…」
「可憐で……」
「ふんふん、可憐で……」
「お、おしとやかに……」
「おしとやかに……」
「……………」
「……なんで黙るの?」
「いや、なにかが食い違ってるような気がしてな……」
「そうなの?」
「ああ、気がつかないほうがよかった何かに気づいてしまったって感じだな」
「……よくわかんないけど、深くは突っ込まない方がいいのかな」
「そうしてもらえると助かる」
「………………」
「………………」


「なあ。マジメな話、なんであいつに話しかけなかったんだ?」
「なんでって……」
「ずっと見てたんだろう?」
「…………うん」
「話す機会ぐらいいくらでもあったろうに」
「……それはそうだけど……」
「なんだ? さっきから要領を得ない答えばっかりだな」
「…………しょうがないじゃない。 わたしだって話しかけたくてもずっと話しかけられなくて、やっと話しかけてこれからだって時にどこぞの吸血鬼に血を吸われちゃったんだから」


「………………」
「…………ど、どうしたの?急に黙り込んで」
「いや、お前の言うとおりだな、て思ってさ。そうだよな。俺が奪ったんだよな、お前の人生。楽しい事も、うれしい事もいっぱいあって、これからだって時に……」
「………………」



……………………バカ
「は?」
「バカって言ったの。いい?わたしだってホントは一度話しかけたはいいもののちょっと自信がなかったの。でも、吸血鬼になって、すごく自分に素直になって。もちろん、全然知らない人の血を吸っちゃったりしたのはいけないことだけど、そのことだけがわたしの救いだったし、うれしかったんだから。それに、志貴君がわたしだけを見てくれたのもあなたのおかげだし……もしあなたがいなかったら今ここにいるわたしは一人ぼっちだった。あなたはわたしからいろんなものを奪ったけど、いろんなものをくれた。だから、あなたは十分償ってくれてるし、ホントは償う必要だって無いんだから」

「さつき…………」

「だからわたしに罪の意識なんて感じないで。……それでも、どうしても償いたいって言うのなら。ずっとわたしのそばにいて。それが、弓塚さつきが遠野四季に与えたい唯一の罰」

「………ああ、わかった。ずっとお前の側にいる。約束だ」

「ほら、わかったんならこっちに来て。一緒に下の様子でも見よう?」
「…………オーケー。すぐ行く」







『ハロー。ハロー。聞こえてますか?

こちら下界です。そちらのお天気をお知らせください』










 ハローハロー。こちら天国。

 こちらはコントの風が吹き荒れた後、ところによっては一時自己嫌悪の雲がかかりますが、午後には晴れ間が見えそうです。

 総じて、一時天気が荒れるところもありますが。










 こちらは、今日も良い一日となるでしょう。















「あ、学校サボってなにやってんだあの朴念仁」
「志貴くん!?」
「たわばっ!」











 ただし、一部地域でコントの暴風警報がだされているため周辺住民は警戒を怠らないでください。






リク第12弾。

「四季とさつきで」ということだったのですが、なんつうか、自分で書いといてなんなのですが……

見事なまでに「やおいSS」と化しております。

やまなしおちなし意気地なし。





なんか違う気がした。




ちなみに俺のなかではさっちんの地はこんな感じです。







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