しえるのチキチキグルメレース





 ある休日、アルクェイドが窓から入ってきた。
アルク「ねー志貴。遊ぼうよ」
志貴「! ・・・・お前はまた窓から・・・・・で、どうしたんだよ急に」
アルク「だって遊びたいんだもん」
志貴「いや・・・べつにいいんだけど・・・・何するんだ?」
アルク「んーとね・・・・・・・ん〜・・・・そうだ!シエルのカレー好きをなおすっていうのは?」
志貴「・・・・・・・・・・・・・・は?」
アルク「だから、シエルのカレー好きをなおすの!いろいろ食べさせてみれば何か他のものに目覚めるんじゃない?」
志貴「何バカな事言って・・・」


 即座に否定しかけて、志貴は考え込む。
 確かに、先輩がカレー以外のものを食べてる所はあんまり見ない。
 逆を言えば先輩はカレー好きが過ぎて他のものに目がいかないだけなのではないだろうか?
 それに、先輩といえばやたらとカレー好きなイメージが付きまとうがそれを除けばかなり理想的な女性へと変貌するんじゃないだろうか。


志貴「試してみる価値はあるな・・・」
アルク「でしょ?じゃ、今日の遊びは「シエルいじり」にけってーい!」

 アルクェイドは遊びのつもりらしいけどこっちは本気だ。
 今日は「シエル先輩理想の女性化計画」だ━━━━!!








しえるのチキチキグルメレース



 問題はどうやってシエル先輩につきあってもらうかだ。自分から進んでこんな企画に乗ってくれる人じゃないし、実力行使となるとそれなりの覚悟が必要だろう。

志貴「う〜ん・・・・・」
アルク「どうしたの?志貴」
志貴「いや、どうやって先輩にいろいろと食べさせようかなってさ・・・」
 なんて考えてると、

シエル「あ、遠野君。おじゃましてますね」
 居間には先輩がいて、あまつさえ優雅に紅茶なんて飲んでいた。
志貴「せ、先輩━━━━!」
シエル「はい、なんですか遠野君?」
志貴「いえ、別に・・・なんでもないです・・・」
シエル「はぁ。遠野君はおかしな事を言うんですね」

 状況はよく飲み込めないがこれはチャンスだ。先輩がうちにいるのなら一番の悩みどころも一発で解決だ。
 台所に行って琥珀さんに声をかける。
志貴「琥珀さん。ちょっといい?」

 そう、ここには遠野家のリーサルウェポン・琥珀さんがいるのだ。琥珀さんならこういった計画には喜んで乗ってくれるだろう。
 案の定、琥珀さんは俺とアルクェイドが企てている計画と現状を伝えると
琥珀「あはー。おもしろそうですねー」
 なんて目を光らせながら言ってくれた。
 やはりこの前勝手に台所で大量のカレーを作られた事を根に持っているのだろうか?

志貴「それじゃあ琥珀さん・・・」
琥珀「はい、眠らせてから地下王国にご招待です♪」
志貴「う、うん・・・・」
 さすが琥珀さん。こちらの予想をはるかに超える恐ろしいセリフをさらりといってくれる。

琥珀「それじゃあ、入り口から入って待っててください。すぐに行きますから」
志貴「うん。わかったけど・・・・・・入り口って?」
琥珀「私の部屋の本棚の本を━━━━と言う風にしていけば入り口が開きますから」

 そ、そんな仕掛けになってたのか・・・・・
 なにやら恐ろしい秘密を知ってしまった気がするが、まあ、ここは言うとおりに動こう。
志貴「はい。それじゃ待ってますね、ほら、行くぞ。アルクェイド」
アルク「・・・・志貴と二人がよかったのに・・・」
志貴「しょうがないだろ。こういうことは琥珀さんの手を借りるのが一番手っ取り早いんだから」
 なにか不満気に口を尖らせてるアルクェイドを引き連れて、俺は初めて地下王国へ自分の意思で行くことになった。




琥珀「あはー。お待たせしましたー」
 琥珀さんは俺とアルクェイドが地下王国に入ってから5分もしないうちにシエル先輩を担いでやってきた。

琥珀「じゃあ、抵抗を防ぐのと、逃亡防止用に、と」
 いいながら琥珀さんはものすごい手際のよさで先輩を鎖で拘束していく。
アルク「へー。やるものね・・・」
 アルクェイドもなにやら変な風に感心している。

琥珀「さてと、じゃあ準備もできたところで起こしますよー」
シエル「・・・・・・・・・・・・ひべべべべ!」
 琥珀さんはどこからか電極を取り出して先輩に当てた。

志貴「うわ・・・」
 その光景を見て二度とこの人を敵にまわすまいと誓った。

シエル「ここは・・・え!?どうなってるんですかこれ!?」
 目が覚めて自分を見てからパニックに陥る先輩に琥珀さんが声をかける。

琥珀「あはー。お目覚めですかー」
シエル「こ、琥珀さん!一体何を・・・」
 うわー・・・・なんかいつもの自分を見てるみたいだ・・・・
 そんなことを考えている俺を尻目に二人は会話を続ける。

琥珀「それはですね、今からみんなでシエルさんのカレー好きを治そうと思いまして」
シエル「よ、余計なお世話です!・・・って、遠野君まで!どういうことなんですか!?」
志貴「いや・・・これは先輩のためを思って」
シエル「何をわけのわからないことを言ってるんですか!」

 まだ状況を飲み込めずに混乱している先輩にそっと近寄る。
志貴「先輩・・・・・・・俺はもしカレー狂のレッテルを張られてなかったら先輩はまちがいなく人気投票で一位をとってたと思うんだよね」
シエル「そ・・・それは・・・!」
志貴「それとも先輩はいつまでもアルクェイドの下に甘んじてるつもりなの?」
シエル「・・・・・・・・・・・・・・・」
志貴「もし先輩が人気投票で一位になったら正ヒロインの座も夢じゃないと思うんだよなー・・・・」
シエル「それは・・・」
 よし、先輩は確実に迷い始めている。

アルク「ねー志貴ー、何シエルと二人っきりでこそこそ話してるのよー。早く始めようよー」
 先輩に耳打ちしている俺にアルクェイドが横から口を挟む。
 ここで最後の一押しだ!
志貴「ほら、アルクェイドも完璧に油断しきってる今がチャンスなんじゃないの?」
 
シエル「わかりました・・・・やりましょう・・・・」
志貴「さすが先輩!がんばろうな!」
 なんか微妙に納得できてない感じの先輩を強引にその気にさせて「シエル先輩理想の女性化計画」(他2名にとっては「シエルいじり」)が始まった。



アルク「はい、それじゃまずはこれー」
 アルクェイドが出したのはビーフストロガノフ。比較的見た目もカレーに近いのでまあ食べれるのではないだろうか。
 先輩も手を使える程度の自由はあるのでスプーンを使ってビーフストロガノフを口に運ぶ。
シエル「もぐもぐ・・・・・・」
アルク「どう?カレー好きなおった?」
シエル「そうかんたんにカレーよりもすばらしい食べ物にであえるわけないでしょう!」
 アルクェイドに怒鳴りつける先輩。まあ、こっちもそう簡単にいくとは思っていない。粘り強くいかなければダメだ。

志貴「じゃあ、次は俺」
 俺が出したのはビーフシチュー。具財も見た目も近いと思ったのでチョイスしてみた。
シエル「もぐもぐ」
志貴「どうかな・・・?」
シエル「・・・・・・・・・・・・・」

 どうやらだめらしい。

琥珀「じゃあ次は私ですねー」
 といって琥珀さんがとりだしたのはお好み焼き。いきなり冒険をする人だ。

シエル「・・・これもだめみたいです」
 まあ、そんなことだろうとは思ったが。
琥珀「じゃあ、次はこれですよー」
志貴「え?」
 続いて料理を手にしたのはまたしても琥珀さん。手にしているのはタイヤキだ。
アルク「おお、やれやれー♪」
 アルクェイドもノリノリだし。




 数分後・・・・・
アルク「し、志貴・・・・・」
 通算17皿目を出す琥珀さんと距離をとって
 不安そうにこっちを見ているアルクェイドの言葉にゆっくりと首を振る。
 ようやくアルクェイドも気づいたらしい。琥珀さんの目はさっきからイッてしまっている。


 しかし、琥珀さんをとめることはできない。
 スイッチが入ってしまった琥珀さんをとめることはすなわち「死」と同義だ。
 いや、当たり前の死なんかよりもひどい目にあうかもしれない。





 こうして、寿司、そばなどの日本料理をはじめ、ピロシキ、タコス、ハンバーガー、フレンチドッグなど、世界各地の料理を食べさせられたシエル先輩はどうやらもう胃の方も限界のようだ。

 さすがに先輩が危険なので恐る恐る琥珀さんを止めに入る。
志貴「こ、琥珀さん・・・さすがにそれ以上は・・・・・」
琥珀「あはははははははは、どんどんいきますよー!」

 だめだ!聞こえてない!先輩・・・・こうなったら琥珀さんの気がすむまで・・・・


 なんてことを考えていると、琥珀さんが次の皿をドン、先輩に差し出した。







 あ、やっちゃった。

 琥珀さんが先輩に出したのはハヤシライス。

シエル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 それを見た先輩の顔が一気に冷める。

琥珀「さあどうしたんですかシエルさん?早く食べてグッ!?」

 気づいたらシエル先輩は鎖を無理やり引きちぎり琥珀さんにリバーブローを放っていた。
 やられた琥珀さんはヒュー、ヒュー、と息をしてなにやらやばげな雰囲気だ。
 こうして自分を拘束する悪の呪縛から逃れた先輩だったが

アルク「し、シエ・・・・・ル!!??」
 先輩に声をかけようとしたアルクェイドも一撃で沈む。


志貴「せ、先輩・・・・」
シエル「遠野君・・・・」
志貴「せ、先輩・・・俺は先輩のためを思って・・・・」
 ところどころ声を裏返らせながら先輩をなだめようとしたが
シエル「たとえどんな理由があろうと私にハヤシライスを食べさせようとした罪は償ってもらいます」
志貴「ちょ、ちょっと待って先輩!話せばわかぐほぉ!?」

 シエル先輩の容赦ない一撃に意識が華麗に遠のいていく。


 薄れ行く意識の中で
シエル「やはりカレーに勝る料理はないようですね。はぁ、無駄な時間を過ごしました・・・・・帰って口直しをしましょう」
 と言うせりふを聞いた志貴は


 まだ食べるのか・・・・・


 と落胆し、「シエル先輩理想の女性化計画」の断念を余儀なくされたのだった━━━━











さて、9000ヒットリクエスト作品ですが・・・・

かずいさん申し訳ないっす!


アルクェイドほとんど出てません!だって動かしにくいんですもの。
真祖の姫君は俺の手に余るようです。


なんだかんだいって今回が一番製作に時間がかかりました。
では、感想などありましたらお待ちしております。

しかし、リクSS作るたびに謝っている気がするのですが。







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