The end of little little boring days
〜幸せな日々の残滓〜










 遠野君から電話があった。

 詳しい状況を聞くことはできなかったけど、遠野君がロアに侵食されていることだけははっきりとわかった。


 学校へいく準備をして、対ロア用の外典を手にしたところで━━━━




 ━━━━一つの、退屈でちっぽけな日々が頭をよぎった。








The end of little little boring days
〜幸せな日々の残滓〜








 最初に彼を見たときに思ったのは何かの間違いじゃないかと思った。
 だって、どう見てもただのぼ〜っとした男の子にしか見えなかったから。
 名前を見る限りこの子で間違いはないんだけど・・・
 まあ話してみればおいおいわかることだろう。










 実際話してみると人懐っこい、でもどこか達観した感じの不思議な少年だった。


 一緒にお茶を飲んだり、食堂で一緒にご飯を食べたり・・・


 人並みの「死」にすら拒絶された私にほんのひと時だけ平凡な日常をくれた男の子だった。


 白い吸血姫━━━━アルクェイドがいろいろとちょっかいを出してきた事もあったけど、それすらも私にとってはいい思い出と言えるものかもしれない。


 遠野君がロアじゃないと知ったとき、わたしはロアになってから・・・いや、ロアになる前から考えても一番喜んだんじゃないだろうか。





 でも、それも儚い夢だった。幻は現実へ。虚であったものは紆余曲折を経てやがて真へとたどり着いてしまった。










 あの時セブンを用意しておけばもっと別の結末があったのかもしれない━━━━



 けれど、それすらも幻。

 時間は弾かれた者を除いて平等に流れる。
 彼はロアになってしまった。







「マスター・・・本当にいいんですか・・・?」
 しばらく考え事をしていたら、普段私に意見を言う事なんて無いセブンがためらいがちに声をかけてきた。
 私は一体どんな顔をして佇んでいたんだろう?
「いまさら何を言ってるんです。なんのためにあなたを持ち出したと思ってるんですか」
「でも・・・」
「それ以上つまらないことを言うと怒りますよ、セブン」
「すいません・・・」


 ホントはセブンに言われるまでもない。
 それはわたし自身が一番よくわかっているはずだ。



 でも、わたしには幸せになる権利が無い。
 それが、わたしがわたしに課した罰だから。


 そして、その罰ももうすぐ終わる。彼ならわたしに最後をくれるはずだから。
 それは、一つの罪を償って、一つの罪を負うことにしかならないけれど。
 もう、疲れたから━━━━全部終わりにしちゃいます。






 そうしてわたしは無骨な銃剣を手に部屋を出た。


 遠野君。
















 ━━━━今からあなたを、殺しに行きます。









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