初めての学校も鮮烈デビュー以外は無事に終わり、めでたく歓迎会とやらに拉致られることになった。教室中の人間を引き連れて性悪姉妹が練り歩く。ふざけてはいるが、結構頼られているのかもしれない。
 ちなみに恭賀が遥か後ろの方で目をつぶったまま歩いているように見えるが、たぶん気のせいだろう。







あんどっち、悪夢の初日(後編)








「いやー、楽しみだね」
「俺は不安で胸いっぱいだけどな」
「大丈夫だって。行ってみれば楽しいと思うよ」
「あんたなんでいるんですか……」

 集団の中でも一際異彩を放つスーツの映える日比谷さんの笑顔がまぶしい。なんで生徒主催の歓迎会に担任が参加しているのか。

「ところで、今どこに向かってるんだろうな」

 ちょっとした疑問をつぶやいてみた。

「う〜ん、寮じゃないかな。あそこなら騒げる場所もあるし」
「ふーん……」

 この際なんで寮に宴会ができるような場所があるんだとかいう疑問は黙殺しておく。




「何だこの集団? どこかいくのか?」

 ちょうどそのとき、右側のほうから声が聞こえてきた。

「ん? あぁ、歓迎会があるんだと」
「ふーん」

 なんだか気のない返事が帰ってくる。













 ……ちょっと待て。俺の右隣、誰かいたか?








「? どうした? 俺の顔になんかついてるか?」
「な、な……」
「な?」
「なんでてめえ復活してんだ藤林!!」

 瞬時に頭の中に粉々になった藤林を思い浮かべつつ裏拳を叩き込む。

「ナイスバッティン!」
「打ってねえけどな!」

 そして俺の想像通り粉々になりながら消えていく藤林。と、気がつけば日比谷さんを除くその場にいた全員がこちらを見ている。

「あ……」

 ま、またやっち──


「なんだ今の!?」
「すご! ていうかえげつな!」
「安藤さん、激しいです……」

「は……?」

 てっきり引かれると思ってたんだけども……一部誤解を招きそうな発言(おそらく穂波の)も聞こえてきたが、要するにはじめて業を見せたから注目を浴びたわけか。


 ときにだ。

「日比谷さん……」
「ん? どうかしたかい?」
「俺、昨日藤林を砕きましたよね」
「あぁ、砕いたね」
「なんでしれっと元通りになってるんですか?」
「藤林君だからね」
「藤林さんだし」

 日比谷さんと美樹の二人に同時に突っ込まれてしまった。しかもなんか理不尽だ。


「それ理由になってなくないですか……?」
「う〜ん、よくはわからないけどどうやら藤林君を完全に消滅させることってできないんじゃないかな。ボクも試したことあるけど、うまくいかなかったし」
「試したんですか……」
八谷 はっこくの日比谷っていえば昔はちょっとしたものだったらしいよ。ひびやんにもぶいぶい言わせてた時期があったってことだね」
「そういうもんか……」

 こうしてまた藤林の謎が一つ増えた。



「あ、そうだ」

 突然何かを思い出したように美樹が声をあげる。

「どうした?」
「テレビ見てくる」
「昨日のアレか。録画じゃダメなのか?」
「勿論録画もするよ? 録画して、リアルタイムでも見るのが通なの」
「なんだそりゃ……」

 まぁ、それを口実に俺も帰れるなら……

「だから先行ってて。あ、そうだ。ひでりん。あんどっちのエスケープ防止役頼んでいいかな?」
「……」

 後ろまで行って保険をかける美樹と無言でうなずく恭賀。そして俺の横を歩く人間が幼女から巨人にバトンタッチする。

「……」
「…………」

 無言で並んで歩く男二人。
















 怖えぇ……







 美樹はしきりに話しかけてくるので体力を使うが恭賀の場合は一切話しかけてこないことが重圧になり精神力を削り取られていく。

「……なぁ、恭賀」

 このままだと本人が意図しないプレッシャーに潰されかねないので話しかけてみた。

「……ん?」
「えっと……その、普段何してるんだ?」
「……寝てる」

 そりゃそうだよねー!! 睡眠時間足りてるようなら学校であれだけ寝るのは難しいもんなー! だれかこいつの成績がいい理由を教えてくれ。

「……ひとつ、いいかな?」
「うら?」

 一人で悩んでると恭賀から話しかけられた。全く予想してなかったので少し間の抜けた返事をしてしまった。

「ど、どうかしたか?」
「いや……なんて呼んだらいいかなって……」

 ……律儀なやつだ。

「あぁ、別に好きなように呼んでくれればいいぞ」
「あんどっち……」
「……って言おうかなー、なんて思ってたけど安藤がいいかな」
「……わかった」
「…………」

 あぶねぇ……まさか美樹以外で好き好んであんな呼び方しようなんてやつがいるなんて思いもよらなかった。なんか一瞬残念そうな顔をしていたのはこの際見なかったことにしよう。




 そんなバカをやってるうちに寮のようなところに着いた。どうやら美樹の予想は当たっていたらしい。そのまま宴会ができそうな広間まで進む。

「安藤さん安藤さん」
「ん?」

 後ろから声をかけられて振り返ると穂波に紙を渡された。

「それ、今日の段取りが書いてありますから読んでてくださいね」
「……意外と手際がいいのな」
「あはは、褒めてもなにもでませんよー」
「むしろお前が出せ」
「黙れ妹」

 いつの間にか横にいた摩波をつれて穂波はどこかへ行った。

「にしても、段取りか……結構まめだなあいつ……」
「でもこれひびやんが挨拶するってこととその後は騒ぐってことしか書いてないよ?」

 不意をついて家にいるはずの美樹が後ろからひょっこりと顔を出す。

「うわぁ!? お、おまえいつの間に着いてたんだ!?」
「今だよ? ちょっと走ったけどね」

 確か俺たちが着いてからまだ15分くらいしかたってないから、美樹が例のドラマを見たとすると、ここまで来るのに5分くらいしかかかってない計算か。俺たち、ここまで来るのに30分くらいかかってるんですけど。ついでに言えば家は学校をはさんで反対側だ。




「はいはーい。じゃあそろそろはじめますよー」

 穂波が前で仕切っている。どうやら司会進行もやるらしい。

「じゃあとりあえず、と言っても題目も二つしかないんですけどね」

 まずは日比谷さんの挨拶からか……でもいきなりこんなこと書かれて日比谷さん何か考えてるのかな。まぁ、率先してこんな場にくるくらいだから挨拶の一つや二つ用意しているだろう。

「では安藤さん、挨拶お願いします」
「おーっす」

 穂波の指名を受けて立ち上がる。














 ……なぜ?






「安藤さん? 挨拶は……」
「俺じゃなくて日比谷さんなんじゃないのか?」
「いえいえ、安藤さんであってますよ。さっき渡した紙に書いてあったじゃないですか」
「いや、だから紙に……な!?」

 さっき穂波にもらった紙を見なおしてみると、確かに「日比谷先生の挨拶」と書かれていたところが「安藤さんの挨拶」になっている。美樹も確認してるはずだから間違いはない。

「どういうことだ……」
「えへへ。業、使っちゃいました。どっきりです。ちなみに私の業は『嘘』ですよ」
「く……」

 図られた……いぇーい、とハイタッチしている性悪双子が憎い。

「がんばれあんどっちー」

 美樹は相変わらず人事だ。あと、こいつは絶望的に応援する才能がないような気がする。

「ついでに言うと乾杯の音頭も安藤さんにとってもらいます」
「面白い音頭を期待してるからな」
「勝手なこといってんじゃねえ!」
「あれ? 安藤さん、ひょっとしてこの状況で逃れられると思ってます?」
「は? 何言って……」

 言われてから気づいた。日比谷さんを含む全員が俺の方を見ている。しかも揃いも揃って目が期待に輝いてやがる。

「う、うぅ……」
「はい、じゃあお任せしますね安藤さん」
「お前覚えてろよ……」
「善処しますよー」

 遊んでやがる……しかし、このまま穂波と言い合っても話が一向に進まないのも事実か。
 いつの日か逆襲することを夢見て今はただ耐えるのみ。

「……紹介に預かりました安藤です。といってももう紹介も済ませてるのでさくっと乾杯の音頭だけ……」
「なんに乾杯しますか?」
「あぁもうお前いらんこというな!」
「ぽけっとてぃっしゅに乾杯するか」
「黙れ妹」

 摩波の寝惚けた意見を即効で却下したが……

「……いいなそれ」

 誰か乗っかりやがった。

「じゃあもうてぃっしゅでいいんじゃない?」
「てぃっしゅに!」
「……ジークてぃっしゅ……」

 その誰かの一声をきっかけに周りのみんなが乗り始める。どうやらこのクラス内での俺のポジションはてぃっしゅに落ち着くらしい。最悪の展開だ。


「……てぃっしゅに乾杯……」
「てぃっしゅにかんぱーい!」


 こうして、前代未聞の嫌さを誇る乾杯で歓迎会は幕を開けた。
 とりあえず乾杯したグラスを開ける。











ぶーーーーーーーーーー!!!


「穂波ーー!!」
「あら、どうしたんですか安藤さん?」
「酒じゃねえかぁ!」
「あら? 安藤さんお酒はダメなほうですか?」
「いや、個人的にはダメじゃないけど……」

 日比谷さんを横目で見る。いくら普段ぼーっとしてる感じでもさすがにこうもおおっぴらに酒を飲んでたら……

「ウーロンハイが好きだー」

 なんでこの人が教師できてんだ。しかも結構安い舌だ。




 そうして2時間ほどたった。
 最初のころは十数人のクラスメイトがかわるがわる俺のそばに来たが、一時間もするとそれぞれが思い思いに騒ぎはじめ、俺の周りにいるのは美樹と宮崎姉妹だけになっていた。あたりを見渡して恭賀を探してみたが、案の定隅のほうで寝ていた。

「あれ? 矢田さん、飲まれないんですか?」

 穂波が美樹に問いかける。よく見ると美樹のグラスにはウーロン茶が入っていた。美樹の様子を見る限り、どうやら最初から酒には手をつけていないらしい。

「え? あぁ、うん。わたしお酒とかダメだから……」
「その謙虚さがてぃっしゅにも欲しいところだ」
「なんか俺にうらみでもあんのかお前は」

 というか、俺のまえにこいつに謙虚さと礼儀を求めたい。

「にしても、本当に飲まないのか? 一杯くらい……」
「安藤君、ちょっと来てもらえるかな」

 美樹に酒を勧めようとしたら日比谷さんに呼び止められた。
 席をはずし日比谷さんの下へと向かう。

「どうしたんですか日比谷さん。さっきまで結構酔いが回ってたみたいですけど大丈夫ですか?」
「そんなことはどうでもいい。いいかい安藤君。美樹ちゃんには絶対お酒を飲ませちゃダメだ」
「はい?」
「……名前で呼ばれるよ」
「…………わかりました」

 正直なところ何をいわんとしているのかはさっぱりわからなかったが、日比谷さんが小刻みに震えていたので了解しておいた。


「何の話だったの?」

 席に戻ると三人はまったりしていた。

「ん? あぁ、教科書の話とかそんな感じだ」
「そういう話なら大抵矢田さんがわかってるんじゃないですか?」
「全部自分でできれば世話はないんだけどな」
「ま、細かいことはいいじゃないか」
「それもそうですね。で、矢田さんは結局お酒飲まれないんですか?」
「う〜ん、あんどっちも勧めてくれたし、少しだけなら……」
「あー、別に無理して飲まなくてもいいんじゃないか? 飲みたくないなら何か他のことで楽しめばいいだろ。ほら、その辺にあるの食ってろ」

 別に飲ませてもよかったが日比谷さんに飲ませないと約束したばかりだったのでそういうわけにもいかなかった。
 適当にその辺からチョコレートを拾って美樹に投げてよこした。

「わ、わ? うん……まああんどっちがそういうなら……」

 受け取り損ねて落としたチョコを拾い上げ、包み紙をあけてチョコを口に放り込む。とりあえずだが、どうやら納得してくれたようだ。
 と、穂波と摩波がこちらをジト目で見ている。

「な、何だ?」
「……安藤さん……」
「…………幼女趣味か……」
「何不吉なこと言ってくれてんだ! ちょ、違うって!」
「ムキになって否定するのが怪しいですよね」
「男なら『そうだ!』くらい言えるだろ」
「んなこと言ったら十字架が増えるだろうが! おい美樹! お前もなんとか言え!」
「……」

 助け舟を求めてみたが、美樹からの反応は一切無い。うつむいたままだ。

「……美樹?」
「矢田さん、どうかしたんですか?」
「……矢田さん?」

 不思議に思ったのはどうやら俺だけではないらしい。穂波、摩波も美樹の様子を伺う。細かいことだが摩波が美樹に敬称をつけたことに少し驚いた。

「…………………ひっく
「……しゃっくりですか? 水いりますか?」

 なんだ。しゃっくりが止まらないだけか。心配をして損をした。



 ……ちょっと待て。
 さっき美樹に放ったチョコを手に取りその包み紙を見る。

「う、ウィスキーボンボン……いや、でもいくらなんでも」
「……隆、何ごちゃごちゃいってるの?
「……はい?」

 今、なんかここ2,3日で聞きなれた声が聞こえたような……でも、俺を隆なんて呼ぶやつはパパ成くらいのものだったはずだけど。

「隆、話聞いてる?」
「名前で呼ばれたー!!!」

 嘘だろ!? ひょっとしてウィスキーボンボンで酔ったのか!? しかも一個しか食ってないのに……

「あぁ、そうそう安藤君。念のために言っておくけどウィスキーボンボンとかもダメだから……ね……」

 不安だったのだろう、日比谷さんが俺たちのところに来て忠告してくれたが少しだけ遅かった。
 美樹の前にあるチョコの包み紙を見て固まる日比谷さん。

「……帰る。後は任せたからね」

 そういうとそのままものすごい勢いで帰っていった。真っ赤だった顔が一瞬で元に戻る様は少し見応えがあった。
 とまあ、軽く現実逃避をはさんで状況が変わるわけでもなく。

「隆、ここ座って」

 自分の横をポンポンと叩く美樹。いや、今そこに行くと性悪双子の絡みがきついんですけど……と、横を見てみると既に穂波と摩波は避難済みで遠くからこちらを見ていた。

「お前ら……」
「危機管理能力が足りてませんよー」
「あとはがんばれ」

 柱の影から言いたい放題か。

「はやく!」
「あぁもうわかったから大きい声出すな!」
「隆が早く座らないからでしょうがぁ!!」

 加速度的に言葉遣いが悪くなってやがる……もうすぐ摩波が射程圏内だ。座らないと頭を割られかねないので横に腰掛ける。

「ん」

 ウーロン茶を一気に飲み干してグラスを差し出す美樹。

「あ? あぁ、ウーロン茶か。あったかな……」
「お茶じゃない。酒。こんなたるいもん飲んでられない」

 ウィスキーボンボンで酔っ払ってるやつが何を……あぁ、目が据わってら。

「……あれ? 英喜寝てるな。けしからん」

 ……もはや言葉遣いが悪いとかいう次元じゃねえな。そのうち文語とか外国語が混じってきそうだ。しかもいまグラスに注いだ焼酎(ロック)の存在をすでに忘れている。
 美樹はそのまま横になって寝ている恭賀の前に座り込みおもむろに手を前に出す。手は中指が発射されるときを待っている。

「ちょ、美樹! ま……!」

 静止の声も間に合わない。もっとも、間に合ってても多分止まらないとは思うが。

 めしん!というビンタを叩きつけたような音と重苦しいボディブローの中間のような音が響き渡る。おい、どういう衝撃を与えたらこんな音がするんだ?

 しかし、恭賀も日比谷さんの弾丸チョークをくらって微動だにしなかったつわものだ。ひょっとしたら平然としてるかも……

「あ……あが……な、何事……?」


 おもっくそ痙攣してるな……っていうかその気になれば鉄板を砕けるデコピンをまともに食らって「何事」ですんでるあいつは何者なのか。


「お、おい……恭賀が起きたぞ……」
「は? つくならもっとマシな嘘つけっつうの」
「いや、見て。起きてるわよ……」
「マジでか!? うわ、すげえ!」
「ってことはあのすっげえ音で起こしたって事か? 物理衝撃で恭賀って起こせるんだな……」


 音に反応して振り向いたクラスメイトからざわめきが起こる。
 ほんっと寝っぱなしなんだなあいつ……
 自分が注目を集めているのに気づいたのだろう。美樹がギャラリーのほうを振り返る。

「よーし、集合ー! さてお立会い、英喜を起こせるデコピンを体感してみたい人はわたしこと美樹のところまでー♪」

 宣言する美樹の明るさとは裏腹に静まりかえる会場。まぁ、額から煙を出すチョーク投げを食らってなお微動だにしなかった恭賀を一撃で現実の世界に引き戻し、そのまま別の世界まで連れて行ったデコピンだ。当然といえば当然だろう。

「むぅ……しょうがない。そこの君、名前は?」
「お、俺?」

 一人の男子生徒が指名をうける。

「た、武田信也」
「よし、信也。こっち来て」
「いや、俺は……」
「来い」
「かしこまりました」

 ドスの効いた声と一級品のメンチに負けて武田くんが地獄の門へと歩いていく。
 ここに来て一人を除いてクラス全員の気持ちは一つになった。




 武田くん、安らかに眠れ。




 めしーん!とまたもやむしろ清々しさを感じさせるかと思いきやそんな現実逃避すら許さないほど恐怖心を煽る音が聞こえた。さぁ、もう一度みんなで唱えよう。武田くん、フォーエバー。君の犠牲は無駄にはしない。


「つぎー」

 ごめん、武田くん。君の犠牲は無駄になりそうです。
 勿論、今回も名乗り出るようなバカはいない。うっかり度胸試しで前に出ようものなら次の瞬間には頭がはじけ飛ぶ危険にさらされることを本能がひしひしと訴えかけて来ているのはきっと俺だけではないということだろう。

「むー……」

 周りの空気に気がついたのだろう。美樹も何とか引き下がってくれたらしい。

「じゃあいいよ。わたしから行くから」
「ぎゃあぁぁぁぁ!! まったく気づいてねぇぇぇ!!!」

 赤い顔をした美樹が周りをとりまいてるギャラリーに飛び掛る。逃げ惑う生徒と追いかける幼女という地獄絵図の完成だ。

「おい安藤! おまえ止めろ、命と引き換えにしてでも!」
「アホか! 無駄に散るわ!!」

 名前も知らない男子生徒に呼びかけられたが冗談じゃない。俺だってこんなところで頭がはじけ飛ぶのは御免だ。
 日比谷さん、今ならはっきりとあなたが何を恐れていたのかわかります。あと進行やってたはずの宮崎姉妹はどこいった。


 逃げながらふっとばされるクラスメイトも14人までは数えられたが、その後美樹の笑顔の映像を最後に、頭に猛烈な衝撃を受けて意識がブラックアウトした。





 翌日以降、美樹はひそかに「武神」というあだ名で呼ばれることになるのだが、それも致し方ないことだろう。




「あ、あんどっち……わたし、頭いたい……」



 武神は伝説を打ち立てた翌日、ウィスキーボンボンによる二日酔いで一日ベッドから抜け出せなかったわけだが。







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